人工知能(AI)が発展するにつれ、「AIの暴走」というテーマは多くの映画人の関心を引いてきました。
『ターミネーター』や『マトリックス』など、人類とAIの戦いを描いた映画は単純にアクションを楽しめるだけでなく、「いつか本当にこんな世界になるのかも」とヒヤリとするスリルがありますよね。
そんな「人類 vs.AI」の映画ジャンルにおいて新たな金字塔となる作品、『ザ・クリエイター/創造者』が誕生しました!
監督を務めるのは、『GODZILLA ゴジラ』や『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で知られる、ギャレス・エドワーズです。
彼の作品の魅力といえば、作り込まれた世界観と深みのあるキャラクター造形。
ギャレス監督らしさが詰まった『ザ・クリエイター/創造者』を徹底解説していきます!
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/20thFOXjp/)
ギャレス監督の描く、「人類 vs.AI」の果てにあるもの
ギャレス監督が作品にかけた想いを語る「特別映像」が公開されました。
彼が今回描くのは、約50年後の世界、AIが人間社会に溶け込んだ世界です。
そこでは人間とAIが平和に共生しており、※「ヒューマノイド」と呼ばれるAIはまるで人間さながらに生活しています。
そんなある日、AIがロサンゼルスで核を爆発。
多くの人間が犠牲になったことで、西側世界は一気に「AIを撲滅せよ」という思想に傾き、人類とAIとの戦争が勃発するのです。
核爆発で家族を失ったアメリカの特殊部隊員・ジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、AIの創造者「ニルマータ」を探し出して暗殺するため、ニュー・アジアで潜入捜査を行っていました。
しかし潜伏先の村に特殊部隊が突入したことで彼の計画は狂い、さらに最愛の妻・マヤ(ジェンマ・チャン)を失ってしまいます。
時は経ち、5年後。
トラウマを抱えながら生きていたジュシュアのもとに、「マヤが見つかった」という情報が入ります。
マヤはニュー・アジアの研究所で、ある兵器AIを開発しているようで……。
ジョシュアはマヤに再会したい一心で、兵器AIの暗殺に向かいますが、そこにいたある意外な存在に出会って人生が大きく変化していくのです。
人類とAIの戦いの果てにある、ギャレス監督が本当に描きたかったものとは?
■参考:動画配信・レンタル・本【管理人・選】
AI創作画像写真集( AIが創作した画像写真集)
※ヒューマノイドロボットとは、人間に似た形状を持ったロボットのことで、人間型ロボットとも呼ばれます。AIはこの定義づきにもとづきながら、さらに斬新で独創的なアイデアを加えて描き出しました。AIが独自にデザインした各画像の1枚あたりの創作に費やした時間はおおよそ20〜30秒です。【引用:Amazon】
※現在、次世代型コンビニの店員、消防士、医師、さらにはハリウッド映画の主役まで、ヒューマノイドロボットは現実世界のありとあらゆる場所に活躍の幅を拡大しています。【引用:Amazon】
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ギャレス節が炸裂!作品の本質は「文明の対立」にあり
ギャレス監督の7年ぶりの新作となる『ザ・クリエイター/創造者』。
『スター・ウォーズ』を観て映画業界に入ることを決意した彼が、完全オリジナル企画で制作しました。
まず注目したいのは、ギャレス監督がこだわり抜いた世界観!
近未来を舞台にした本作ではほとんどの場面が「ニュー・アジア」で展開していきます。
ニュー・アジアとは、人間とAIの戦争が勃発して以降も両者が共生を守っている東側世界のこと。
東南アジアを思わせる水辺の村や、東京のような巨大都市が組み合わされた独特の世界観は、ギャレス監督やスタッフがこだわり抜いてヴィジュアルを構築していったそう。
タイのジャングルなどで撮影が行われ、いざ撮影に入ると、ギャレス監督自身もインディーズの頃さながらにカメラを担いで撮り進めるほどの熱中っぷりでした。
一連のこだわり抜いた世界観から見えてくるものこそが本作の本質、「文明の対立」です。
「人類 vs.AI」というSFらしいテーマを描いた映画に見えて、その奥に「西洋 vs.東洋」という文明の対立が見えてきます。
人間と同じように痛みや喜びを知っていくAIを受け入れ、共に生きようとする東側と、AIの未知なる部分を恐れて駆逐しようとする西側。
まるで世界の歴史の一端を見せられているかのような展開に、人間の浅はかさや愚かさを痛感させられます。
ラストで必ず涙?絶望の先に人類が見るものとは!
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を初めて観た時、ラストシーンの切なさとその先にある希望とに心が震え、思わず鳥肌が立ちました。
『ザ・クリエイター/創造者』でもまた、ギャレス監督は素晴らしいラストシーンを生み出した!と感嘆させられます。
本作では西側世界が人間とAIの共存コミュニティを徹底的にひねり潰していく様子が描かれ、正直「むごい」「胸くそ悪い」と思う場面もたくさん登場します。
そんな溜まりに溜まったフラストレーションを最後に昇華させてくれるところが、さすがギャレス監督。
種族間の戦いを描きながらも、最後は「この映画は愛の物語だったのだ」と気づかされます。
●ジョン・デヴィッド・ワシントン(John David Washington)
誕生日:生年月日 1984年7月28日生まれ
星座:しし座
身長:175cm
出身:アメリカ・ロサンゼルス
▶おすすめの代表作品(管理人・選)
「天才的な演技力」を持つ新人子役を大抜擢!
物語のキーを握る「兵器と呼ばれた少女」アルフィー役に大抜擢されたのは、若干8歳で演技初挑戦のマデリン・ユナ・ヴォイルズ(YouTube動画あり)。
キャラクター造形の深さはギャレス監督の持ち味のひとつですが、マデリンのあどけなさが観客の心を大きく揺さぶることは間違いないでしょう。
オーディションには何百人もの子供たちが集まったそうですが、ギャレス監督はマデリンの演技を見て思わず泣きたくなるほどだったとか。
当時マデリンはまだ6歳でした。
撮影中も目が肥えたスタッフたちをその演技力で何度となく涙させ、さまざまなロケ地を旅しながらの過酷な撮影を耐え抜いたというから驚き。
主演のジョン・デヴィッド・ワシントンとはふざけ合うこともしばしばで、劇中さながらの深い絆で結ばれたようです。
そんなマデリンはドイツ系アメリカ人の父と東南アジア系の母の間に生まれ、幼少期からダンスや空手を習っているそう。
これから彼女が映画界に新しい息吹をもたらすことにも期待したいですね!
まとめ:ギャレス監督が伝えたいこと
2023年10月20日に公開された、『ザ・クリエイター/創造者』。
本作は間違いなくギャレス・エドワーズ監督の集大成といえる傑作です。
AIが進化している今、その恐怖について盛んに議論が交わされています。
しかしこの映画では、AIが人類を破滅の道から救おうと手を差し伸べているのです。
夢想的とも言える世界観を通してギャレス監督が伝えたいのは、「人類はどのようにして人間らしさ」を保っていくのかということなのではないでしょうか?
ぜひ大画面で『ザ・クリエイター/創造者』を味わってくださいね!
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ウェス・アンダーソン作品の世界観が大好き!ライターの「もな」です。
映画にどハマりしたのは、小学生の頃に『ロード・オブ・ザ・リング』を観てから。
それからというもの、映画は私の人生にとって欠かせないもので、大学では映画学を専攻しました。
私の書く記事が、誰かと素敵な映画との出会いの場になったら嬉しいです。
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