『ジョーンの秘密』もっとも意外なスパイ!経済安保を今に問う映画

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■ソフィー・クックソン『ジョーンの秘密』https://hlo.tohotheater.jp/

「彼女がスパイだったとは!」

という意外性は、どんなスパイにもありがちなこと。

しかし、今記事で紹介する実話映画『ジョーンの秘密』のスパイは、「もっとも」と形容詞が付くほど世間が「まさか!」と驚愕した人物です。

イギリスで、スパイ「ジョーン」の「国家秘密漏洩」が表ざたになったのは2000年5月

容疑が問われた案件は、さかのぼること半世紀、第二次大戦中の出来事なのです。

ジョーンとは何者か、そして彼女は本当にイギリスを他国に売った売国奴スパイなのか。

現在にも通じる、政治的な問いかけをしてくれる映画です。


ジョーンの秘密(予告編)

「経済安保」が問われる時代、機密情報の漏洩

「現在にも通じる」とは、日本に限らず、官学一体となって研究開発をする先端技術や機密情報が海外に流出するという問題です。

研究者が他国から引き抜かれることも、安易な外国人留学生の受け入れも同じく根は一緒です。

最近のニュースで、日本の国家安全保障局(NSS)はいわゆる「経済安保」に本腰を入れたとあります。

参考記事:「政府、新技術・インフラ防衛に本腰 安保局「経済班」始動」(2020.4.21時事通信)

しかし、この問題は根深く今に始まったことではありません。

映画『ジョーンの秘密』の原題は、『Red Joan』

「Red」が意味するのは、第二次大戦中の共産主義国・旧ソ連のことで、国家機関で働いていたジョーンは仕事で知り得た機密情報をソ連に横流しし続けたというのです。

蟄居する老婆に、突然訪れた英MI5情報部

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https://hlo.tohotheater.jp/net/movie/TNPI3060J01.do?sakuhin_cd=018713

物語の「意外なスパイ」は、すでに夫に先立たれ今では寂しく蟄居する80歳の老婆ジョーン・スタンリー(ジュディ・デンチ)

家で新聞を見ているところから始まります。

新聞は、外務次官の死亡を知らせていまいました。

実は、この外務次官が残した資料から、半世紀も前にジョーンが「国家機密漏洩」に関わっていた事実が浮かびあがってきたのです。

取り調べるのは、イギリス情報部MI5の捜査員。

ジョーンを連行し裏付けを取り始めますが、ジョーンは驚きの表情を見せるばかりです。

●ジュディ・デンチ(Judi Dench)

誕生日:1934年12月9日

出身:イギリス

身長:155㎝

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キャッツ (予告編)

ケンブリッジ大学で、物理学を学んだ優等生

映画では、ここからジョーンの若かりし頃(ソフィー・クックソン)を回想するシーンに飛びます。

あらわれるのは、イギリスの名門ケンブリッジ大学に通うジョーン。

彼女は、物理学を専攻するまじめな学生でした。

しかし、そこで知り合う友人たちが、後々のジョーンの人生に大きく影響を与えていきます。

女友達ソニアに誘われるまま参加したのは、社会主義を信奉する同志の集会でした。

ジョーンにはまったく興味のない世界だったのですが、そこで熱弁を奮うレオを紹介されます。

●ソフィー・クックソン(Sophie Cookson)

誕生日:1990年5月15日

身長:161㎝

出身:イギリス・イングランド

▶ソフィ・クックソンの出演映画一覧

憧れのレオに、感化されていくジョーン

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ジョーンの思想とは別に、カリスマ性のあるレオとの出会いは以降、彼女にとって気になる存在となります。

一方、大学でのジョーンは優秀で真面目な学生でした。

卒業したジョーンは、その秀でた能力を買われ国の核開発機関に就職します。

当時のイギリスは、第二次世界大戦の真っただ中。

混とんとする国際情勢の中で、敵国ドイツはもちろん、同盟国であるアメリカやソ連にも先駆けて新しい兵器を研究中でした。

その兵器とは、「核爆弾」

いみじくもジョーンの知識は、上司のプロジェクト・リーダーの教授から注目されることに。

機密保持義務を負いながらも、いつしかショーンは多くの国家機密を扱う存在となっていきます。

核開発競争のさ中、ジョーンに近づく者

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核爆弾開発の知識や情報は、当時はまだ模索の時代。

各国は他国の進捗状況に興味津々で、血眼になって情報を探していました。

イギリスの核開発情報に目を付けたのは、当時は同盟国だった旧ソ連

そして、その黒幕となったのはなんと、ジョーンが信頼を寄せていた友人ソニアでした。

元はと言えばユダヤ系のロシア人で、しかも友人ショーンの仕事内容を知っていたのです。

そして、ジョーンが大好きなのを知っているレオを、何度も彼女に接近させていきます。

揺るがぬ証拠の中、ジョーンの本当の気持ちは?

さて、再び映像は尋問を受けるジョーンの場面に戻ります。

数々の証拠を握り、当時のジョーンが行った機密漏洩を認めさせようと英国情報部は80歳のジョーンを追及します。

しかし、どこまでもシラを切りとおすジョーン。

同席していた、弁護士でもある実の息子さえ呆れてしまいます。

ジョーンには確固たる信念があり、息子に言い放った言葉は、

「私はスパイではない。あの時代でないと、絶対に私の本当の気持ちはわからない。」と。

つまり、ジョーンはソ連にイギリスの売ったのではないと「売国奴」のレッテルを完全否定したのです。

まとめ~「核の同時保有」の意味~

第二次世界大戦がほぼ終盤に入った頃、ジョーンはテレビで原爆投下のニュースを見ます。

それは、先に原爆を作ったアメリカが、日本の長崎と広島に原爆攻撃をしたというニュースです。

一面の焼け野原と焼け出された人々の悲惨な状況を目にし、ジョーンは涙を流すのでした。

もし、世界の少なくとも大国と言われる国々が同時に原爆の開発に成功していたら、核による報復合戦を避けて、結果、どこの国も核を実際に使うことはなかったのに…。

ジョーンの「本当の気持ち」はここにあり、当時のもうひとつの大国・ソ連に、あえて彼女は「核の同時保有」を意図的に図った…。

これは、「現在に通じる」核保有の根本でもあります。

一方、この理屈はいつ何時、「技術の世界共有による世界平和」として、第二、第三の「ジョーン」が現れるとも限らないのです。

今作は、そんな深い投げかけをしてくれる映画です。


エコノミック・ステイトクラフト 経済安全保障の戦い

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