
世界大戦・戦後、そして東西分裂を描くドイツ映画
ドイツ映画も、面白い映画がたくさんあります。
そして、登場するドイツ人俳優もハリウッド俳優ほど知名度はなくても、実に多彩な顔ぶれです。
今記事では話題のドイツ映画に登場したかわいい女優、若手イケメン俳優、そしてベテラン名優を作品とともに紹介していきます。
案外、どこかで見た記憶のある俳優に出会うかもしれませんね!
特にドイツは、第二次大戦、ヒトラー支配、戦後の東西分裂という激動の時代を経験し多くの人間ドラマが生まれました。
今回紹介する映画は、そんな時代を描いた、ぜひ一度は見ておきたい7つの作品と主要キャストです。
ドイツ近代史を知る上でも大変参考になるはずです。
目次:ドイツ映画の女優・俳優と登場する注目映画
1.Werk ohne Autor
『ある画家の数奇な運命』、戦前・戦後を生きた天才画家

最初に紹介するのは、『ある画家の数奇な運命』です。
6作の中では一番新しい映画ですが、大変評価の高い作品です。
そして、今作に登場するメイン・キャストのドイツ人俳優4人は、いずれも美人女優そしてイケメン俳優です。
内容は邦題通り、実在画家の半生をモデルにして制作されています。
その実在画家とは、現代美術界の巨匠でドイツが誇る最高峰の天才画家ゲルハルト・リヒター氏。
演じるのはトム・シリングで、クルト・バーナートという画家名で登場します。
<Tom Schilling>
●トム・シリング(Tom Schilling)
誕生日:1982年2月10日 (みずがめ座)
身長:170㎝
出身:ドイツ(旧東ベルリン)
▶おすすめの代表作品
<Saskia Rosendahl>
薄命の叔母を演じた美女、「サスキア・ローゼンダール」



そして、クルトの作品に影響を及ぼしたと思われる二人のキレイな女性が順に現れます。
ひとりは、クルトが子どもの頃にかわいがってもらった、叔母のエリザベト(サスキア・ローゼンダール)。
ナチスによる独裁の影が忍び寄る暗い時代に、叔母のエリザベトは実に天真爛漫な女性でした。
しかし、エリザベトは突如、クルトの前から姿を消してしまいます。
彼女は天真爛漫さゆえに奇人扱いされ、なんとナチスの「優性思想政策」の犠牲者になったことを子どものクルトは知りません。
●サスキア・ローゼンダール(Saskia Rosendahl)
誕生日:1993年7月9日 (かに座)
身長:164㎝
出身:ドイツ
▶おすすめの代表作品
ふたり目は、クルトが美術学校に進学したクルトが出会った同級生のエリー( パウラ・ベーア)でした。
(冒頭画像:https://www.facebook.com/WerkOhneAutor)
エリーは、どこかエリザベトと面影がとてもよく似ています。
<Paula Beer>
●パウラ・ベーア(英語読み:ポーラ・ビール=Paula Beer)
誕生日:1995年2月1日 (みずがめ座)
身長:167㎝
出身:ドイツ
▶おすすめの代表作品
面影残す妻役「パウラ・ベーア」、その父親「セバスチャン・コッホ」



しばらくして、二人は結婚します。
しかし、クルトが期せずして出くわしたのは「数奇な」運命でした。
エリーの父親カール(セバスチャン・コッホ)と出会った時、まるでフィクションのように二人の女性が繋がってきます。
恐怖政治による戦争時代、戦後も続くドイツの東西分裂時代が横糸なら、クルトが3人の人間と関わりながら目指した芸術は縦糸のように紡がれていきます。
英語のタイトル「Never Look Away」(決して目をそらさないで)がキーワード。
天才と言われたクルトの作風に、一体なにが影響していったのでしょう。
ぜひ、4人のキャストとともにスペクタルなエンディングを映画でお確かめ下さい。
<Sebastian Koch>



●セバスチャン・コッホ(Sebastian Koch)
誕生日:1962年5月31日(ふたご座)
身長:182㎝
出身:ドイツ(旧西ドイツ)
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6.The Reader
『愛を読むひと』、戦後ドイツの戦犯裁判で見たもの



次に紹介する映画は、『愛を読むひと』(アメリカ・ドイツの合作。言語は英語)です。
ケイト・ウィンスレットがアカデミー賞主演女優賞を獲った名作としても有名ですが、その内容の深さと切なさに涙が止まらない映画でした。
原作は、ドイツ人小説家ベルンハルト・シュリンクの『朗読者』です。
そして、今作で注目されたドイツ人俳優は、ダフィット・クロス。
10代半ばの実年齢での出演でした。
戦後間もないドイツが舞台で、年上の女性ハンナに憧れる純粋な青年を演じます。
<David Kross>
●ダフィット・クロス(デヴィッド・クロス)(David Kross)
誕生日:1990年7月4日(かに座)
身長:181㎝
出身:ドイツ
▶おすすめの代表作品



しかし、ただの恋愛映画ではありません。
途中で明らかになるハンナの過去。
それは、戦時中になんと彼女は、ユダヤ人収容所の看守をしていたというのです。
しかも、戦時中の戦犯を裁く裁判で訴えられていることがわかります。
若いダフィット・クロスの熱演は、ぜひ観ておきたい一作品です。
『キーパー ある兵士の奇跡』、大人になった「ダフィット・クロス」



一方、『愛を読むひと』から、すっかり大人になった彼が主役として登場する『キーパー ある兵士の奇跡』も必見です。
今作も、敗戦国ドイツが影を落とす戦後が舞台のドラマです。
ダフィット・クロスが演じる主人公バート・トラウトマンは、イギリスの名門サッカークラブの実在ゴール・キーパー。
しかし、イギリスのサッカー・ファンは、トラウトマンの過去を知って動揺します。
彼の出身はドイツ人で、しかも元ドイツ空軍の空挺兵だったのです。
イギリス人にとっては忘れもしない、ロンドン空襲のパイロットだったのです。
過去の恨みを、サッカーというスポーツ世界に持ち込まれた苦悩を演じる主人公は見どころです。
参考記事:「愛を読むひと」のダフィット・クロス主演『キーパー ある兵士の奇跡』
8.Das Leben der Anderen
『善き人のためのソナタ』、「監視社会」旧東ドイツの実状



次に紹介するドイツ映画は、第79回のアカデミー賞で外国映画部門(現・国際長編映画賞)を受賞した名作『善き人のためのソナタ』。
ロマンチックな邦題ですが、とんでもない、戦後ドイツが東西分裂を余儀なくされた暗い時代の物語です。
舞台は、分裂されたまま西側世界と敵対する1984年の東ドイツ。
国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉(画像)の監視実態を描いた映画です。
西側国の「自由」を知った、国家保安省の局員



ヴィースラー大尉を演じたのはウルリッヒ・ミューエ(故人)で、陰湿な「盗聴シーン」は見ものです。
彼のミッションは、東ドイツ国内にあって反体制活動をする危険分子を見つけることでした。
目を付けられたのは、劇作家のドライマン(セバスチャン・コッホ)(『ある画家の数奇な運命』参照)と、その同棲相手のクリスタ(マルティナ・ゲデック)。
ベテラン名優二人が演じる「逢瀬」と、「盗聴される」緊張シーンは見どころです。
しかし、物語は次第に怪しくなります。
国家に忠実で職務を粛々とこなしていたはずのヴィースラー大尉が、二人が満喫する「自由」に接して次第に変わり始めるのです。
ドライマンの弾くピアノソナタを耳にしたとき、彼の気持ちは感じたことのない高ぶりを見せるのでした…。
<Martina Gedeck>
●マルティナ・ゲデック(Martina Gedeck)
誕生日:1961年9月14日 (おとめ座)
身長:175㎝
出身:ドイツ
▶おすすめの代表作品
さらに見ておきたい、有名ドイツ映画と出演俳優
10.Barbara
『東ベルリンから来た女』、出国を企む女医役に「ニーナ・ホス」



ニーナ・ホスはドイツ人女優ですが、ハリウッド映画にもよく登場するので知っている人も多いのではないでしょうか。
こちらの映画は、『東ベルリンから来た女』です。
『善き人のためのソナタ』と同じ、東西分裂の東ドイツが舞台。
ニーナ・ホスが演じるのは、西側への出国を希望したばっかりに田舎の小さな病院に左遷させられた女医バルバラ。
そこで出会った医者に好意を抱かれながらも、恋人のいる西側への出国を計画します。
いざ、脱出という段になりバルバラの決心を揺るがす出来事が発生。
暗い時代の憂鬱感を、田舎町の殺風景な景色とニーナ・ホスの表情が雄弁に語ってくれる映画です。
<Nina Hoss>
●ニーナ・ホス(Nina Hoss)
誕生日:1975年7月7日 (かに座)
身長:180㎝
出身:ドイツ
▶おすすめの代表作品
12.Hannah Arendt
『ハンナ・アーレント』、ベテラン女優「バルバラ・スコヴァ」の熱演



戦時中のドイツと言えば、ヒトラーに支配された恐怖政治を思い出します。
中でも、ユダヤ人迫害に関連した映画やドラマは数えきれないほど制作されています。
この映画『ハンナ・アーレント』もそのひとつですが、中身はもっとも本質的な内容となっています。
「ハンナ・アーレント」は実在人物で、ドイツ出身のユダヤ人で哲学者でありジャーナリスト。
演じたのは、大ベテラン女優「バルバラ・スコヴァ」です。
ハンナがジャーナリストとして追いかけたのは、ナチス親衛隊の戦犯「アドルフ・アイヒマン」の裁判でした。
「人間の悪の本質」に迫ったアーレントが持論を展開するに至った過程が描かれています。
<Barbara Sukowa>
●バルバラ・スコヴァ(Barbara Sukowa)
誕生日:1950年2月2日 (みずがめ座)
身長:165㎝
出身:ドイツ
▶おすすめの代表作品
14.Lore
『さよなら、アドルフ』、再び「サスキア・ローゼンダール」主演



さあ、最後は再びサスキア・ローゼンダールの登場で、主演映画『さよなら、アドルフ』(ドイツ・オーストラリの合作)で締めくくりましょう。
2012年の作品なので、冒頭の『ある画家の数奇な運命』より6年前の、彼女が20歳になったばかりの初々しい作品です。
舞台は、ドイツが敗戦を迎えた1945年。
ザスキア・ローゼンダール演じる主人公「ローレ」は、ナチス高官の父の家に生まれ何不自由なく暮らしていました。
しかし、終戦でローレの環境は一変、父と母はいつしか行方不明となり、ローレは幼い兄弟を連れて900キロ離れた祖母の家を目指すことに。
途中でローレが目にするものは、初めて知る「ホロコースト」という事実。
愕然とするローレに、旅の途中で手を差し伸べたのはなんとユダヤ人だったのです…。
まとめ
さあ、ぜひ見て欲しいドイツ映画6作とメイン・キャストを紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
もちろん、これ以外にも素敵なドイツ映画はたくさんありますので、またの機会に紹介したいと思います。
ドイツ映画と俳優の触れる機会にしていただければと思います。
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<参考の読み物>
まとめ:ドイツ映画の女優・俳優と登場する注目映画