映画『バイス』で脚光、力を持つ副大統領。米2020年選挙でも注目!

バイス,ディック・チェイニー,副大統領
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アメリカ大統領選挙で、話題になることのない副大統領。

しかし、2020年の大統領選挙の民主党バイデン候補の場合はちょっと事情が違うようです。

理由は、今度の立候補で副大統領に指名した人物が黒人女性カマラ・ハリス上院議員だったことです。

これまで民主党は「落ち着いた穏健派」を選んできた歴史があり、バイデン氏自身もオバマ大統領から指名されたのは穏健派だったのです。

その彼が指名したハリス氏は、「歴史的副大統領候補」と呼ばれる人物。

彼女は、大統領を陰で支えるのが仕事と思っていないようなのです。

参考:BBCニュース「【米大統領選2020】 カマラ・ハリス上院議員とは 野党・民主党の副大統領候補に」

さて、副大統領といえば「最強の副大統領」と言われたディック・チェイニーをご存じでしょうか。

今回紹介する実話映画『バイス』は、ブッシュ政権時代(2001年~2009年)、副大統領の立場で政策に深く介入した人物の物語です。

ブッシュ政権時代の、チェイニー副大統領

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チェイニーラムズフェルドパウエルジョージ・W・ブッシュと聞いて、記憶が蘇る人も多いのではないでしょうか。

これらは、ブッシュ政権時代の閣僚で、ディック・チェイニー(クリスチャン・ベール)は副大統領。

ドナルド・ラムズフェルドは国防長官、コリン・パウエルは国務長官です。

もちろんこれ以外にたくさんの閣僚がいましたが、映画で実名登場する主な人物です。

ちなみに、タイトル「バイス」は「副」の意味です。

本人、妻リン・チェイニー(エイミー・アダムス)、そして当時彼を取り巻いたる政治家の面々は今も健在です。

にもかかわらず、赤裸々なプライベート場面を含め、時に史実を皮肉っぽく茶化してしまうあたり、さすがのアメリカ映画と感心します。

▶クリスチャン・ベールの出演映画一覧

副大統領は、大統領が死ぬのを待つのが仕事

映画の中で本人の口から出てくるこんなセリフ。

「副大統領?大統領が死ぬのをひたすら待つ立場だろ?」と。

言いすぎとしても、アメリカ副大統領ってほとんど注目されることがありません。

予告動画は、ブッシュ大統領候補(サム・ロックウェル)から副大統領指名を受けて欲しいと頼まれるシーンですがチェイニーは違っていました。

最盛期には「史上最強の副大統領」、末期では「史上最悪の副大統領」と言われた通り、とにかく引き受けた以上はやりたい放題だったのです。

ストーリーの方は、チェイニーが酒好きな学生だった頃から描かれています。

後に妻となる恋人リンから、叱られながら持ち直すという情けないディックだったのです。

彼が政治家として成長していくプロセスがリンを通して描かれるところはひとつの見どころです。


▲映画レビューとコメント(アマゾン・プライム)

後の盟友、ラムズフェルド国防長官との出会い

 

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チェイニーが政治世界の裏表を学ぶのは下院議員時代。

後に、ブッシュ政権の国防長官となるラムズフェルド氏のアシスタントをしていた頃です。

彼に仕えながら叩き込まれた鉄則3箇条は、「口は堅く」「指示を守れ」「忠実であれ」と。

2001年にブッシュ政権が誕生、チェイニーが副大統領になった時、この時の関係からラムズフェルド国防長官の起用が決まったと言われています。

そして、同年9月11日に同時多発テロが勃発。

チィエイニーが副大統領の立場にありながらも、国防長官ととともに国策に「主体的に深入り」し出したのはここからです。

テロ直後、ブッシュ不在のホワイトハウスは経験のない動揺と緊張に包まれます。

陣頭指揮を執るチェイニー副大統領の頭の中に、「ブッシュの指示を待つ」なんて毛頭ないようシーンが出てきます。

▶サム・ロックウェルの出演映画一覧

大統領にのませた、副大統領を受ける条件とは

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チェイニーが政治経験豊かなことは、自他ともに認めるところです。

実際、チェイニーはフォード政権時代の首席補佐官、H・Wブッシュ(父ブッシュ)の国防長官など要職を歴任した強者でした。

彼の頭の中に、きっと「副大統領なんて」という気持ちがあったのでしょうか。

チェイニーがブッシュに示した条件は、「政権運営にあたって自分に一定の権限を持たせること」。

平たく言えば、引き受けるからには「好きにやらせてくれるんだろうな?」でした。

映画では誇張されているのか、なんとも軽いノリのブッシュはチェイニーの示した条件をいとも簡単に承諾するのです。

3人が舵を取った、フセイン潰しとイラク侵攻

ブッシュ大統領に言質を取り、盟友ラムズフェルドを従えたチェイニー。

ここに、「最強の副大統領」が誕生したのです

政権発足から2年後、同時多発テロの傷の癒えない世論を追い風に、アメリカは大量破壊兵器があるとしてフセイン潰しとイラク侵攻に舵を取っていたのは周知の通りです。

…と書くと、シリアスな社会派映画って思いますよね?

内容は確かにその通りなのですが、実は映画は皮肉たっぷりに制作されていることがだんだんわかってきます。

とにかく登場者の、「ソックリさん!」レベルには驚きです。

登場者の面々は、日本の当時のニュースで取り上げられた顔ぶれなのですぐわかるはずです。

当時のアメリカの外交政策は、本当にあれで良かったの?というシリアスな疑問をうまく演出した見応えのある映画となっています!

まとめ~2020年選挙はなぜ歴史的「副」大統領?~

2020年の大統領選挙は、現トランプ大統領とバイデン民主党候補との一騎打ち。

しかし、白人警官による黒人男性暴行死事件が尾を引く劣勢トランプ陣営に対し、バイデン氏が指名した副大統領候補は黒人女性。

何が起こるかわからないアメリカ大統領選挙、そしてもし民主党政権となった暁には、モノを言う副大統領が再び登場するような気がします。

それは、チェイニー副大統領とは異なるいい意味での「歴史的副大統領」であってほしいと願うばかりです。

BBCの解説を冒頭の記事と合わせてご覧下さい。

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