12月28日は「シネマトグラフの日」です。
1895年の同日フランス・パリで、リュミエール兄弟が発明したシネマトグラフを用いて世界で初めての商業公開が行われました。
このことからリュミエール兄弟は「映画の父」と称されています。
まずは「シネマトグラフの日」にちなみ、映画『リュミエール!』をご紹介します。
(冒頭画像:引用https://gaga.ne.jp/lumiere!/)
映画『リュミエール!』(16):作品紹介
映画の父と呼ばれる、兄のオーギュスト・リュミエールと弟のルイ・リュミエール。
彼らが1895年から1905年の間に製作した映画1422本の中から、『工場の出口』含む108本を作品を厳選し構成されたオマージュ作品です。
作品のセレクトはフランス・リヨンのリュミエール研究所のディレクターであるティエリー・フレモーがしています。
リュミエール研究所はリュミエール家が営んでいた写真乾板(※)の工場の跡地に建てられた博物館で、リュミエール映画祭の企画・開催も行います。
(※)(しゃしんかんぱん)- 写真(映画)撮影において映像を記録する感光材料、現在でいう写真フィルム。
シネマトグラフとは
シネマトグラフとは、トーマス・エジソンの発明したキネトスコープをリュミエール兄弟が改良し、映像をスクリーンに投影することで一度に多くの人が鑑賞することを実現した映画装置です。
彼らがシネマトグラフの研究に至るきっかけとなったのは、父アントワーヌ・リュミエールの指示からでした。
フィルムの長さは17メートル幅は35ミリ、映像は約50秒、モノクロで音はありません。
世界初の映画といわれる作品は『工場の出口』(1895)です。
リュミエール兄弟の代表作
『工場の出口』(1895)
リュミエール工場から仕事を終えて出てくる従業員たちの映画。
『水をかけられた散水夫』(1895)
散水夫と少年のコメディ映画。(作中では『水を撒かれた水撒き人』のタイトル)
『ラ・シオタ駅への列車の到着』(1895)
奥行を感じられる構図が活かされた映画。
映画は、家族の思い出の記録に
リュミエールの映画とされている作品は、ほぼルイ・リュミエールと彼ら以外のカメラマンが撮影しました。
そして、ルイ・リュミエールは自らの身の回りのありふれた日常を撮影しました。
そのため彼ら兄弟の家族、親族を映した映画も多く存在します。
例えば『赤ん坊の食事』(1895)には、ルイ・リュミエールが撮影した兄夫婦と彼らの娘アンドレが仲睦まじく映されています。
彼らは自身の発明品で家族の思い出を記録することに熱中していました。
これらは家族ドラマのはじまりともいえる映画作品です。
このようにリュミエール兄弟の功績や作品を振り返ると、偉大な功績の陰に「家族」の絆や愛情の存在も感じられます。
そこで、『リュミエール!』に続き、「家族」を題材にした現代映画を2つご紹介します。
『パパは奮闘中!』(18)
ストーリーと見どころ
オンライン倉庫で働くオリヴィエ(ロマン・デュリス)。
残業続きで家族との時間が少ないながらも、妻のローラ(ルーシー・ドゥベイ)と幼い2人の子供たちと幸せに過ごしていると信じていました。
ところがある日突然、ローラが家を出て行ってしまいます。
慣れない育児と仕事の両立を迫られ、オリヴィエの奮闘の日々が始まります。
今作の見どころは、幸せだと思っていた家族の一人が突然いなくなってしまうという寂しさと困難の中、奮闘するオリヴィエの姿を通して、寂しさ、不安、嬉しさ、愛しさいろんな気持ちに出会えることでしょう。
監督:ギョーム・セネズ
脚本:ギョーム・セネズ/ラファエル・デプレシャン
パパは奮闘中!(作品情報)
『海辺の家族たち』(16)
ストーリーと見どころ
人気女優のアンジェル(アリアンヌ・アスカリッド)は、倒れた父の知らせを聞きパリから20年ぶりに帰郷します。
アンジェルの故郷はマルセイユの近郊にあり、海辺の家からは素晴らしい景色が見渡せます。
コミュニケーションの取れなくなった父と、家業のレストランを継いだ上の兄アルマン(ジェラール・メイラン)、若い婚約者を連れた下の兄ジョゼフ(ジャン=ピエール・ダルッサン)と再会を果たしました。
しかしせっかくの再会にも関わらずそれぞれの秘めた過去があらわになり、家族の気持ちはバラバラに。
そんな最中、兄妹は入り江に漂流した3人の難民の子供たちを見つけました…
見どころは、家族だからこそ話し、聞き、受け入れることが難しいときがあることでしょう。
彼らを通してそのもどかしさに共感できるかもしれません。
監督・製作・脚本:ロベール・ゲディギャン
さいごに:ライターコメント(by サヤヲ)
『リュミエール!』には、ひたすらわくわくしっぱなしでした。
リュミエール兄弟の映画をふんだんに鑑賞できる作品であり、彼らの築いた商業映画の価値の原点を知れます。
後半でご紹介した2作品の家族ドラマは気づいたら笑顔になっていました。
以上、純粋なレビュー・感想でした。
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ミステリー小説とカレー、そして猫を愛するサヤヲといいます。
様々な視点から映画をたのしむきっかけとなれれば幸いです。
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