『ヘディタリー/継承』や『ミッドサマー』などの作品を輩出してきた映画製作・配給会社A24と、『エクス・マキナ』や『アナイアレイション-全滅領域-』などを手掛けるアレックス・ガーランド監督がタッグを組んだ本作。
美しくも毒々しく、恐怖心を煽るメインビジュアルに惹かれ鑑賞しました。
思っていた以上におどろおどろしい体験が待ち受けており、鑑賞しながらつい顔をゆがめてしまいました。
そして、内容的にかなり難しい作品だと感じました。
アレックス・ガーランド監督のインタビューに助けを求めましたが、「答えは言いたくない、それぞれが自由に感じ取ってくれ」ということでしたので…自由に感じ取った感想とちょっとした考察を書いていきたいと思います。
(冒頭画像:引用https://twitter.com/MEN_MOVIE_JP/)
●アレックス・ガーランド監督(Alex Garland))
誕生日:1970年5月26日生まれ
星座:ふたご座
身長:185cm
出身:イギリス・ロンドン
▶おすすめの代表作品
※本記事はネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。
作品概要
映画タイトル | 『MEN 同じ顔の男たち』 |
原題 | Men |
監督 | アレックス・ガーランド |
出演 | ジェシー・バックリー、ロリー・キニア、パーパ・エッシードゥ |
公開日 | 2022年12月9日 |
オープニングとエンディングは、レスリー・ダンカンのLove Song。エンディングでは、エルトン・ジョンとデュエットしたカバー曲が使用されています。
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『MEN 同じ顔の男たち』:主な登場人物とあらすじ
主人公ハーパーを演じるのは、『ワイルド・ローズ』やNetflix作品『もう終わりにしよう。』のジェシー・バックリーです。
夫が死ぬ瞬間を目の当たりにし、心に傷を負った彼女はその傷を癒すためイギリス郊外のカントリーハウスを訪れます。
そして、カントリーハウスの管理人ジェフリーを演じるのは、『007 スペクター』『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』などに出演したロリー・キニア。
ひとしきり屋敷の案内を受けたハーパーは、街を探索しに出かけます。
静かな森の奥で見つけたトンネル。
ハーパーが歌うとその声が美しく響き渡ります。
しかし、トンネルの奥に得体のしれない何者かの姿を発見。屋敷に向かって必死に逃げます。
やっとの思いで屋敷に到着したものの、庭には裸の男の姿が…
男は連行されますが、危険性はないとされすぐに釈放。ハーパーの中に恐怖と怒りが立ち込めます。
夫の死によって傷ついた心を癒すためにやってきたハーパーでしたが、この街の男たちにどこか違和感をおぼえるのです。
少年、神父、警察官、そして管理人のジェフリー。
男たちは、皆同じ顔でした!
そしてその夜、ハーパーは恐ろしい体験をすることになります。
●ジェシー・バックリー(Jessie Buckley)
誕生日:1989年12月28日生まれ
星座:やぎ座
身長:170cm
出身:アイルランド
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『MEN 同じ顔の男たち』:ネタバレ注意の感想
同じ顔の男たち
ロリー・キニアが、管理人ジェフリーを含めこの街の男たち全員を演じています。
正直な話をしますと、似ているなと思ったのは数人でまさか全員が同じ顔だとは思いもしませんでした。
ロリー・キニアの演技力や特殊メイクの技術の高さに驚きました。
本作では、この”同じ顔の男たち”がハーパーにじわじわと嫌悪感を抱かせ、ラスト襲い掛かって来るのです。
【少年】
遊ぼうと声をかけてきた少年。
ハーパーが断ると暴言を吐きます。
自分の意見や思いが伝わらないとキレる、かまってちゃん。
【神父】
教会で夫との辛い過去を思い出し、発狂するハーパーに声をかけてきた神父。
優しく話を聞いてくれるのかと思いきや、最終的に「旦那に謝る機会を与えなかったあなたが悪い」そういったことを言ってきます。
このシーンで気になったのは、神父がハーパーの脚に手を置きながら会話をしていること。
海外なのでそれくらいのスキンシップは普通なのかと思いながらも、若干不快感を抱きました。
その不快感も、ラストに向けて間違いではなかったことが分かってきます。
ハーパーに対し、性暴力的発言をしてくるのです。
【警官】
裸の男を連行し、釈放した警官。
不安がるハーパーの気持ちに寄り添ってはくれません。
この他に、バーのお客たちも同じ顔をしています。
●ロリー・キニア(Rory Kinnear)
誕生日:1978年2月17日
星座:みずがめ座
身長:183cm
出身:イギリス・ロンドン
▶️おすすめの代表作
考察:男たちに抱く、嫌悪感の種
過去、ハーパーは夫ジェームズ(パーパ・エッシードゥ)と別れたがっていました。
ですが、ジェームズは「僕から離れるなら死ぬ。一生罪の意識を背負って生きていけばいい」と自分よがりな発言をするのです。
頭を抱えるハーパー。
そんなある日2人は口論になり、ジェームズはハーパーに手をあげてしまいます。
その瞬間ハーパーの怒りは沸点を超え、強い口調で怒鳴りジェームズを家から追い出します。
「これで私たちの関係は終わりだ」と。
喧嘩の後、ふと窓の外を眺めると上階から飛び降りたジェームズと目が合います。
自殺か、事故かは明らかになっていません。
トラウマを抱えたハーパーは、「自分を縛り付ける夫ジェームズへの嫌悪感」と「自分が謝る機会を与えていれば」という罪悪感の狭間に立たされていたように感じます。
その感情が、登場する”同じ顔の男たち”の発言や行動にあらわれているのだと思いました。
ハーパーは、同じ顔の彼らをみても違和感を抱いている様子はありませんでした。
思うに嫌悪を感じる相手の顔などどうでもいい。と思っていて、むしろ見えていないか作品のまま同じ顔に見えているのではないかな?と解釈しました。
嫌悪を感じる相手=男たち=夫そんな構図に見えました。
●パーパ・エッシードゥ(Paapa Essiedu)
誕生日:1990年6月11日生まれ
星座:ふたご座
身長:180cm
出身:イギリス・ロンドン
トラウマレベルの出産シーン
街の男たちが次々と屋敷に現れハーパーに襲いかかってきます。
ハーパーとの戦いの末、傷ついた男は手腕・足を負傷し無残な姿になりますが、思い返すと夫ジェームズが転落死した時に大きく負傷していた箇所と同じことに気付きます。
男たちは複数人のように見えて、実は1人の同一人物。
姿形はかわるものの、負傷した傷は同じ位置にあるのです。
そして、衝撃のクライマックス。
男が男を産み落とし、その産まれた男がまた男を産み落とす…。
女性にとって出産とは、喜びそして命をかけて痛みを受ける神聖なもの。
そこから産まれ続けるこの街の男たちの姿が生々しく描かれており、衝撃的で不快以外の何ものでもありませんでした。
最後に産まれ出てきたのは夫ジェームズ。
ハーパーは尋ねます。「私に何を求めるの?」
「ただ愛が欲しいだけだよ」そうジェームズは答えます。
一方的に愛を強要するような言葉に対しハーパーは、やっぱりね、だから嫌なんだ。そううんざりしていたのではないかなと思いました。
起きたことは、現実なのか幻覚なのか
鑑賞しながら、起きてきること全てはハーパーの幻覚なのではないかと思いました。
しかし争いのあと、男たちの血痕や破損した車がそのまま残っています。
個人的な考えとしては、襲い掛かって来る男たちは皆ハーパーが見る幻覚で、管理人のジェフリーが心配して様子を見に来ることだけが現実だったのではないかと思います。
破損した車についても、何か別の物語があったのではないでしょうか。
例えば…ハーパーがジェフリーを轢き、車を降り逃げ出します。そして、怪物化したジェフリーがその車に乗ってハーパーを追いかけるシーンがありました。
実際にはジェフリーはまともで、轢き逃げ犯を追う感覚で車に乗り込み、轢かれた痛みから駐車に失敗し、車が破損してしまったとか。
もしくは、全て幻覚で車を破損させたのはハーパー自身だったかですね。
追いかけるジェフリーを、幻覚をみているハーパーが殺害してしまったのが、最後残された血痕の正体なのではないかと考察しました。
みなさんは、どのような解釈をされましたか?
まとめ
個人的にかなり難関な作品でした。
本作は、元々「シーラ・ナ・ギク」という女性像と、「グリーンマン」という人頭像からインスピレーションを受けて作られています。
作中にも登場する像ですね。
また、アダムとイブなど数々の神話が元になっているらしく、掘れば掘るほど様々な解釈が出てきそうです。
そこら辺は、今回は詳しく触れずに一度鑑賞した感想と考察を述べさせていただきました。
気になる方は調べてみると面白いと思います!
■※制作会社A24のこと【管理人・選】
A24とアメリカ映画の現在 ―『ムーンライト』『ミッドサマー』『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、そして『aftersun/アフターサン』へ―(ユリイカ2023年6月号 特集)
※およそ10年前に設立されて以来、独自の存在感を放ち続けているA24。作品の「ヴィジョン」の精査に基づくキュレーション、ソーシャルメディアを活用した独創的なマーケティング、そしてそれらを「A24」らしさとして印象づけるブランディングは、いまやZ世代をはじめとする広範な層にリーチし、個々の作品の枠組みを越えたファンダムを形成しているように見える…。【引用:Amazon】
《ライター:siori》
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子供の頃から趣味は映画と言い続けている自称ゆる映画好きsioriです。
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