新型コロナウイルスの感染拡大などを背景に、多くの作品が劇場公開中止となっていた時期がありました。
その一方で、サブスクでの配信限定作品は年々増えており、これまでの枠に囚われることのない新たな切り口の作品が数多く登場しています。
今回、紹介するアマゾンプライム作品『シンデレラ』もその一つ。
本作では、海外で人気の歌手カミラ・カベロを主演に迎え、クイーンやマドンナ、エド・シーランなど近年のヒット曲カバーを含めた形で“唄って踊る”まったく新しい作品です。
待つだけの生活はもう終わり!激しく、タフにもっと強く!
ドレスデザイナーを夢見るエラ。
親を亡くした彼女は継母たちと暮らし「シンデレラ」と呼ばれていました。
そんなある日、舞踏会の知らせが…。
これは古くさいおとぎ話を大胆にアレンジした“ひとりの女性”を描いた物語。
もう「おとぎ話」だなんて、言わせやしない!
●カミラ・カベロ(Camila Cabello)
誕生日:1997年3月3日生まれ
星座:うお座
身長:157cm
出身:キューバ・ハバナ
▶カミラ・カベロの出演映画
アマゾンプライムが描く、新時代の『シンデレラ』
皆さんは、シンデレラの物語のルーツを知っていますか?
かぼちゃの馬車やガラスの靴といった今日私たちに親しまれている「シンデレラ」の物語は、1950年代に制作されたディズニー作品が大きな影響を与えています。
その原作として使用されたのが、絶対王政下のフランスの作家が描いた童話でした。
さらにルーツをたどっていくと、古代エジプトや古代ギリシャまで話はさかのぼりますが、時代や地域を超えて愛されている物語であることはたしかです。
しかしながら、世界中で愛されているおとぎ話や童話の多くは、ヨーロッパ中心に創られたものばかりです。
世間一般のシンデレラは、多数派の物語?
難しい表現をすれば「インド・ヨーロッパ語族」の間で5000年以上も前に創られたもの…。
この世界には約200の国があるのに対し、7000~8000種類の言語が存在するとされており、そうした中で同じルーツを持つ言語を話す集団を「語族」と表現します。
その語族で最大のものが、英語やフランス語、ロシア語を含む「インド・ヨーロッパ語族」なのです。
つまり、今日知られているシンデレラの物語は多数派によって生み出された物語なのです。
これまでも数多く映画化されてきましたし、子どもの頃は誰も意識していないと思いますが、これまでの「シンデレラ」作品にはある共通点があります。
その多くは、登場人物がすべて「ヨーロッパ系」の人々であることです。
多数派が創りあげた世界の中には、現実世界にはいるべき人々が描かれていないのです。
アマゾンプライムが制作した『シンデレラ』では、そうしたこれまでの常識を打ち砕く演出がなされています。
冒頭の歌唱・ダンスシーンだけでも衝撃は十分あるのですが、よく見ると、そこには今まで描かれてこなかったアフリカ系の人々やアジア系の人々が描かれているのです。
さらに、物語が進むと、セクシャリティーを超えるキャラクターたちが次々と登場します。
近年の時代の流れを上手に作品の中に、落とし込んでいるのです。
『シンデレラ』は、古くからのヨーロッパの固定概念で創られた“偏った物語”ではなく、様々な個性を認める多文化主義を描いた“新時代の物語”として生まれ変わったのです。
「シンデレラ」は、私の名前ではない…!
『シンデレラ』の主人公はシンデレラ…そんなのあたりまえのこと!
誰もがそう思っています。
しかし、忘れがちなのはシンデレラという名前は彼女につけられたある種の悪口…この言葉は「灰にまみれたエラ」という意味であり、彼女の名前はエラなのです。
私たちは、知らず知らずのうちに彼女の名前を忘れてしまっていたのです。
だからこそ、作中で登場人物たちが彼女のことを「エラ」と呼びかける姿を見ると、彼女の人格が認められているように感じる…。
つまり、エラというひとりの女性の物語として、観る者に意識させるものになっているのです。
テーマは「ジェンダー」、固定概念を打ち砕く演出
本作は近年、問題となっている「ジェンダー」をテーマとして描いたものであり、現代の女性のあり方、あるべき姿を提示しているようにも感じられます。
それを示すかのように、エラは「自分の店を持ちそこで働く」という夢を持ち、その夢に向かってただひたすらに走る…。
また、あとあるシーンではパンツスーツ姿で登場するなど、これまでの「女性らしさ」という固定概念を打ち砕く演出もいくつもなされているのです。
●ケイ・キャノン監督(Kay Cannon)
誕生日:1974年8月22日生まれ
星座:しし座
出身:アメリカ・イリノイ州
▶おすすめの脚本作品(管理人選)
参考記事:台頭する女性監督の洋画作品が話題に。映画界の男女間格差に変化が
まとめ~夢は見るものではなく、叶えるもの~
この言葉は、元・なでしこジャパンの澤穂希選手が残した有名な言葉です。
本作では、女性が自身の力で道を切り拓いていくたくましさが描かれています。
おとぎ話で描かれてきた「待つヒロイン」という概念を覆したのである。
もちろん、そうした細やかな内容の変化にともない、男性たちの考え方が作中で変化していく様子が面白く感じます。
自分自身の生き方は、自ら選ぶ時代であり、そうした時代の訪れを感じさせくれる作品が本作なのです。
明日からのあなたの希望や勇気、そして元気をくれる『シンデレラ』をぜひご覧ください!
《ライター:ファルコン》 クリックで担当記事一覧へ→
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映画と音楽が人生の主成分のライターのファルコンです。
学生時代に映画アプリFilmarksの“FILMAGA”でライターをしていました。
大人になって、また映画の世界の魅力を皆さんにお伝えできれば、と思いライター復帰しました。
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