邦画タイトル『女は二度決断する』では伺えない、悲しすぎるヒューマンドラマです。
ドイツ映画で原題は、「Aus dem Nichts」。
「何もないところから」「どこからともなく」といった意味で、テロによる被害者の虚しさを表現する原題の方がぴったりきます。
主演は、数少ないドイツ出身の女優ダイアン・クルーガーでシビアな役どころの似合う女優です。
今作での、感情表現が凄い彼女の演技は、第70回カンヌ国際映画祭で主演女優賞を獲得しています。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/LesFilmsdeFatihAkin/)
あらすじ:最愛の家族を、一瞬にして亡くした女性
愛する夫と子どもと、3人で幸せに暮らしていたカティヤ(ダイアン・クルーガー)。
ある日突然、彼女はテロと思われる爆破で一瞬にして最愛の家族2人を亡くしてしまいます。
ところが偶然にも、カティアは現場で爆破犯人らしき人物を直前に目撃していました。
失意の中にも勇気を振り絞り、テロ実行犯に罪を認めさせるため法廷闘争に挑みます。
天国から地獄へ落とされた彼女の慰めは、それしかありませんでした…。
容疑者が逮捕されるも、夫の過去の犯罪歴に原因?
事件は大きく取り上げられ、素早く動いた警察は容疑者の夫婦を逮捕。
二人は、ドイツで暗躍する極右ネオナチグループの一員でした。
実行犯の裏付けのため、警察は被害者との関連で、妻であり母親のカティアからも事情聴取をします。
しかし、聞かれることは亡くなった夫ヌーリ(ヌーマン・アチャル)の過去の麻薬犯罪歴に関することばかり。
容疑者を断罪する真相には迫らず、カティアの苛立ちは募る一方でした。
法廷闘争の移るも、納得できない方向へ
容疑者は逮捕されたものの完全否認し、事件は法廷闘争へと移ります。
裁判の流れは、はじめは容疑者の犯行を立証する方向へと。
ひとつは、カティヤ自身の爆破当日の目撃証言。
もうひとつは、容疑者夫婦の父親証言として、息子が自宅で爆弾を造っていたという発言でした。
しかし、容疑者夫婦側から驚くべき証言者が出てきたのです。
ホテル経営者の証言で、容疑者夫婦は当日ギリシャで宿泊していたとアリバイを証明されたのです。
麻薬使用を指摘され、追い込まれて行く主人公
さらに、容疑者側の弁護士は、カティアが夫と子供を亡くし自暴自棄になっていた時の麻薬使用を指摘したのです。
それを根拠とした麻薬の常習性から、目撃証言は妄想だと指摘。
間違いなく容疑者の顔を現場で見て、自信のあったカティヤは当然怒り狂うことに。
容疑者夫婦が嫌疑不十分となる中、カティアはなぜか裁判の裏でうごめく罠を感じ始めるのでした…。
クライマックス:「二度の決断」そして予期せぬ結末へ!
邦画タイトル『女は二度決断する』に沿ってカティアの心境をたどると、
カティアの最初の「決断」は、亡き夫と子どもを弔うため必ず実行犯を有罪にするという執念。
「二度目の決断」は、もう裁判なんか当てにできないと考え、テロ犯を裁くのは自分しかいないという決心。
熱演ダイアン・クルーガーの面目躍如、最後の決断の凄みがにじみ出るクライマックスです
まさに邦画のタイトル通りですが、実はこの映画、予期せぬ「三度目の決断」が待っていたのです。
まとめ:ギリギリの熱演にシビれる作品
ハリウッドを中心に活躍する数少ないドイツ出身女優がダイアン・クルーガーです。
中でも一番印象深い映画は、『イングロリアス・バスターズ』ではないでしょうか。
第二次大戦中のドイツ側に潜入したスパイ役ですが、彼女のギリギリの演技が凄かった!
今作でもそんなギリギリ感の熱演に浸れますので、ぜひ、ご覧下さい。
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