今から40数年前、スティーブン・キング原作でスタンリー・キューブリック監督が映画化したことで有名な作品『シャイニング』。
その主人公・ダニーが成長した姿を描いた作品があることをご存じでしょうか。
その作品こそ、2019年に公開された映画『ドクター・スリープ』です。
この記事では、『ドクター・スリープ』を楽しむために必要な、2つの作品にまたがって登場するキーワードについて解説していきます。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/doctorsleepmovie/)
映画『ドクター・スリープ』:作品概要
『ドクター・スリープ』は2019年に公開された、ホラー&ファンタジー映画です。
原作は、ホラー小説の巨匠スティーブン・キングの同名小説であり、『シャイニング』の続編にあたります。
今作のメガホンを取ったのは、ホラー映画を多く手掛けるマイク・フラナガン。
『美女と野獣』や『スター・ウォーズ』で知られるユアン・マクレガーが主演を務め、ダニー少年のその後を演じています。
キューブリック監督の映画『シャイニング』は名作として名高いものの、原作者であるキングに酷評されていることが有名です。
しかし今作は、映画版『シャイニング』の有名なシーンをオマージュとして取り込みながらも、原作へのリスペクトに溢れた作品となっています。
まさに、映画『シャイニング』のファンも、原作ファンも納得のいく作品と言えるでしょう。
■前作『シャイニング』とスティーブン・キングの原作
※世界でもっとも恐ろしいホラー小説。その称号にふさわしい作品が、『シャイニング』。予知能力を持つ5歳の少年と両親に降りかかる怪異。ホテルの浴槽に、廊下に、鏡に、忌まわしいものが潜む。怪音がどおんどおんと轟き、青い炎がREDRUMのかたちに燃え、ぶるるるる・がちゃんとエレベーターが動き出し、パーティーの始まりを死人が告げ、惨劇の幕が開く…。【引用:Amazon】
※著者:スティーヴン・キング
1947年、アメリカ・メイン州生まれ。「キャリー」「シャイニング」「ザ・スタンド」「ダーク・タワー」「IT」「ミザリー」「グリーン・マイル」など数々の傑作を発表し、“キング・オブ・モダン・ホラー”として世界的な名声を誇る巨匠。
『ドクター・スリープ』:あらすじ
オーバールックホテルでの惨劇の後、ダニーは母と2人で暮らしていました。
しかし、ホテルの亡霊はいまだ彼につきまとっています。
ダニーを助けたいと願う亡霊・ハロランは、ダニーに「心の中の箱」にホテルの亡霊を封印するよう助言しました。
それから長い年月が経ち、成人したダン(ダニー)は短気な性格とアルコール依存症に悩み、人生のどん底にいました。
その現状を打破するため、ダンはニューハンプシャーへと引っ越します。
そして、そこで出会った友人の助けを得て、職と家を得た上に、アルコール依存症のグループセラピーに参加することができるようになりました。
アルコール断ちにより、かつての能力「シャイニング」を取り戻したダン。
ダンは能力を使って、死の間際の人に癒しを与えるようになります。
そんなダンの元に、謎の人物からシャイニングを用いた連絡が入ります。
その人物はアブラ・ストーンという少女で、強力なシャイニングを持っていました。
■『ドクター・スリープ』
※冬季閉鎖中のホテルで起きた惨劇から30年。超能力“かがやき”(シャイニング)をもつかつての少年ダンは、大人になった今も過去に苦しみながら、ホスピスで働いていた。ある日、彼の元に奇妙なメッセージが届く。差出人は同じ“かがやき”をもつ少女。その出会いが新たな惨劇の扉を開いた。ホラーの金字塔『シャイニング』の続編、堂々登場!【引用:Amazon】
重要人物&用語紹介~『シャイニング』から繋がる~
映画『ドクター・スリープ』はアクションやファンタジー要素多く、単体でも十分楽しめる作品です。
しかし、前作『シャイニング』を知っている方がより楽しめることも事実。
この項では、前作を知らない人でも今作を楽しむことができるよう、重要な人物や用語について紹介していきます。
重要用語:「シャイニング」
前作のタイトルにもなっている「シャイニング(輝き)」。
シャイニングとは、ダンやアブラ、そして後述するハロランなどが持つ超能力のようなものを指します。
亡霊や後述するホテル、吸血鬼的存在にとっては養分になりえるようで、喉から手が出る程欲しい存在。
一言でシャイニングと表現してはいるものの様々な種類や用途があるようで、作中では「人を操る能力」や「人の頭の中に入り込む能力」などが描写されています。
ちなみに、一番よく使われているのはテレパシー能力です。
重要用語:「オーバールックホテル」
オーバールックホテルは、ロッキー山脈の上に位置する豪華なリゾートホテルであり、幼い頃のダンとその両親を巻き込む惨劇が起こったホテルです。
オーバールックホテルは血塗られた歴史で彩られたホテルであり、数多くの亡霊と共に、ホテルそのものが邪悪な意思を持っていると考えられます。
同じ『シャイニング』でも映画と原作では描写が違い、原作ではホテルで起こった過去の事件(管理人が自分の子供を惨殺した事件など)よりも、「インディアンの墓地を潰してホテルを建てたこと」が強調されています。
ダンの父・ジャックはホテルに操られた結果、幼いダンと妻を殺そうとしました。
今作『ドクター・スリープ』では、廃墟として登場します。
重要用語:「237号室の亡霊」
237号室とは、前作映画『シャイニング』で、ダンが絶対に入ってはいけないと言われていた部屋(原作では217号室)。
その中には腐敗した女性の亡霊がおり、ホテルから帰ることができたダンにしつこくつきまとっていました。
その後はハロランの協力の元で、ダンの「心の中の箱」に封印されました。
双子の亡霊と共に、前作を象徴する存在でもあります。
重要人物:ダン・トランス(ダニー)
前作・今作共通の主人公。
強いシャイニングを持っており、幼い頃はその能力を「トニー」と呼んで友達のように接していました。
オーバールックホテルとその亡霊たちはダンのシャイニングを狙い、彼の父・ジャックを狂気へと導きました。
成長してからはジャックと似た気質を持つようになり、暴力癖とアルコール依存症に悩まされるようになります。
重要人物:「ハロラン」
ダンと同じくシャイニングを持ち、オーバールックホテルでコックをしていた人物。
幼いダンにシャイニングのことやホテルのことなどを教え、ダンとその母が危機に陥った際には、危険を賭して2人を助けに冬のホテルへと戻ってきました。
映画版『シャイニング』ではジャックにより殺されてしまいますが、原作では生き残ってホテルを脱出しています。
今作では亡霊として登場し、死してもなおダンを導く存在として描かれています。
重要人物:ロイド(バーテンダー)
登場している時間は短いものの、前作・今作共に、重要な役割を持っているのが「ロイド」というバーテンダーです。
ロイドはホテルの意思を代弁する存在のようで、ジャックやダンをホテル側へと引き込もうとします。
その際に使われるのが、2人共通の弱点であるお酒です。
ジャックはロイドの口車に乗ってお酒(幻のはずですが、実際に酔う描写があります)を飲んでしまい、惨劇を招きました。
ダンの前に現れたロイドは見た目が変わっており、ジャックの姿をしています。
まとめ
『シャイニング』の続編、映画『ドクター・スリープ』をご紹介してきました。
今作はあくまでもホラーだった前作とは違い、アクション性やファンタジー性が増しています。
より楽しみやすいものとなっているため、ホラーが苦手な人にもおすすめしたい作品の1つです。
前作を知らないのであれば、ぜひ、この記事をお供にして鑑賞してみてください。
《ライター:オオノギガリ》 担当記事一覧はこちらから→
洋画が大好きwebライター。王道の物語も大好きですが、少し捻った作品を偏愛しています。大好きな映画監督はクリストファー・ノーランとクリント・イーストウッド。
主に映画内容の考察を得意としており、魅力に溢れながらも「わかりにくい映画」を最後まで楽しめるお手伝いができればと考えております。
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