今回は、ミニマリストとして生きる女性と彼女の恋愛について描いたタイ映画『ハッピー・オールド・イヤー(原題:Happy Old Year)』の紹介です。
ミニマリズムとは?その意味は?今作が語る幸福とは?
自身もややミニマリズムに偏った価値観を持つ、ライターすどうゆきが案内します。
(冒頭画像:引用https://twitter.com/happyoldyearJP/)
『ハッピー・オールド・イヤー』:あらすじ
デザイナーとして働くジーン(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)は、スウェーデン留学から帰国後、家のリフォームを始めるが、母と兄は猛反対。
ジーンはモノであふれる実家の断捨離を決意し、友人に借りた物を返したり、不要なモノを売ったりしながら、リフォームに向かって進む。
しかし、元恋人エムのカメラや、父が残したピアノ等捨てられない思い出の品もあった。
果たして、ジーンは新年を迎える前に、全てを整理することができるのだろうか?
本作では端正な顔立ちで観客を惹きつける、主人公の元恋人エム役サニー・スワンメーターノンにも今後注目したいところ。
製作を手掛けたのは、タイ版A24?スタジオ「GDH559」!
本作は、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』製作スタジオ「GDH559」×主演女優(チュティモン・ジョンジャルーンスックジン)が再タッグを組んだ映画となっています。
『バッド・ジーニアス』といえば、高校生の天才たちが、試験の答えを売る巧妙な詐欺計画を実行するサスペンス映画。
「所詮、学生の犯罪」と侮れない、すさまじい緊迫感を味わえる名作です。
思わず共感してしまう、「ミニマリスト」あるある満載!
ミニマリスト主人公ジーンの描写について、同志ならば共感必至の要素が沢山あるのが本作の面白いところ。
例えば彼女のファッションはいつも白のトップスにダークカラーのボトム…とミニマリスト感満載。
わかります。初めに自分の服装についてフィルターをかけることで、服を選ぶ労力を減らせるんですよね。
また髪型についても清潔感重視のタイトなボブヘアということでミニマリストらしさを感じます。
(筆者も全く同じ髪型です)
もはや訓戒レベル?!ちょっと過激な「断捨離」ステップ
ジーンのミニマリズム思想はスウェーデン留学中に固められたと語られますが、本作では彼女独自の「断捨離ステップ」が紹介されます。
中には、【ルール3 感情に溺れるな】といった訓戒レベルのものまで…
土産物をなかなか捨てられない兄ジェーに対し、「感情は問題を増やすだけ」と言ったり、ジーンの断捨離スタンスは少々度を超えたものであることがわかります。
筆者も高校の卒業アルバムを迷わず捨てる等してきたので、彼女の気持ちがわからなくもないのですが、他人への価値観の押し付けはしないようにと心がけています。
大事なのは、「自分の生活への馴染ませ方」
ジーンはどこまでもモノとの関わりを「シンプル」にすべく断捨離に勤しむ。
しかし、感情や意志を持たないモノだけならまだしも、人生にはシンプルに取り扱えない問題が沢山あるのです。
特に家族関係をはじめとする人間関係は、「手のかかる」問題の最たるものでしょう。
人生は本来どこまでもカオスなものなのです。
その事実を無視して、行き過ぎたミニマリズムを実行するということは混沌の排除につながることになりかねません。
誤解してはいけないのは、ミニマリズムという思想自体が悪者なのではないということ。
大事なのはいかにパーソナライズするか。
■「ミニマリズムとは?」参考本【管理人・選】
※幸せになる方法はモノを持つ以外にもたくさんあります。その一つとして「ミニマリズム」に目を向けてみてください。(中略)本書では特に「楽に生きるため」の視点でミニマリズムをご紹介していきます。第一章「捨てる」ことで楽になる 第二章「見極める」ことで楽になる 第三章「その先を知る」ことで楽になる…【引用:Amazon】
※誰かと競い合い、息を切らせて「山頂=上」に向かうのではなく、呼吸を乱さず自分のペースで「遠く=奥」を目指す。(中略)21世紀に求められるのは「持続的な成果」。そのためには、健康な体と長期的な視座、持久力のある集中力を獲得し、最高の状態をキープし続ける必要がある…。【引用:Amazon】
※Amazon.co.jpで使えるギフトカードです。数億種の商品・サービスに利用できます。(ギフトカードなど、一部制限)ギフトボックスが付属します。有効期限は発行から10年です。
『365日のシンプルライフ』のポスト作品に!
ミニマリズムに焦点を当てた映画ということで、ポスト『365日のシンプルライフ』ともいえるかもしれない作品『Happy Old Year』をご紹介しました。
迷える主人公ジーンが最終的にどんなライフスタイルを選ぶのか…気になりましたら鑑賞してみてください。
▼『365日のシンプルライフ』:ミニマリスト界隈では有名なフィンランド映画
■映画『365日のシンプルライフ』と「その後」【管理人・選】
※ヘルシンキ在住・26歳のペトリは、彼女にフラれたことをきっかけにある“実験”を決意する。ルールは4つ。①自分の持ちモノ全てを倉庫に預ける②1日に1個だけ倉庫から持って来る③1年間、続ける④1年間、何も買わない…【引用:Amazon】
『365日のシンプルライフ』AFTER BOOK (AFTER THE CINEMA 映画の「その後」を語る本)
※これまであるようでなかった「映画の『その後』を語る本」とは、映画をつくった後、つくった人はどうなったのか。映画を観た後、観た人には何が起きたのか。映画をつくった人や観た人が「その後」を語る本。
まとめ:「ラーゴムな毎日」?
『Happy Old Year』の舞台は2019年でしたが、個人的には、「人間が家に籠る自粛生活を考慮に入れるようになった」、ポストコロナのミニマリズムがどう変化していくのか気になるところ…
ということで、今後製作、公開されるミニマリズム作品も注目してまいりたいと思います!
主人公が移り住み、ミニマリズムの影響を受けたという北欧の国、スウェーデンについて知りたくなった方はこちらをどうぞ。
《ライター:すどうゆき》 担当記事一覧はこちらへ→
●洋画好きのすどうです。英語が飛び交う環境で働くペーペー社会人。
映画鑑賞で英語上達を画策中。
※LAGOM【ラーゴム】とは、スウェーデンのライフスタイルに息づく概念。ちょうどいい、ほどほど、合理的、平等……そんなニュアンスを含んだ、スウェーデン独自の言葉です。結婚を機に、夫の母国であるスウェーデンに移り住んだイギリス出身の著者。そこでの「ラーゴムな毎日」は、大都市ロンドンの生活では忘れかけていた「穏やかな充実感」を取り戻させてくれました。【引用:Amazon】
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