ナショナルジオグラフィック誌(National Geographic Magazine)といえば、地理学、自然・環境、歴史、文化など、自然科学全般の事象を紹介する世界的雑誌です。
あの黄色い枠で有名ですよね。
その雑誌が掲載する記事「史上最強の女性は? 歴史家3人に聞いた」では、二人の歴史上の女性の名前が上がっています。
参考記事:「史上最強の女性は? 歴史家3人に聞いた」(ナショナル・ジオグラフィック202018.3.)
ひとりは、紀元前5世紀のハルカリナッソスの女王「アルテミシア」。
もう一人は、こちらも紀元前530年頃のの、中央アジア・マッサゲタイ族の女王「トミュリス」です。
今記事では、第一線の歴史家から「最強女性」と言われたのはいったいどんな女性なのか、二人が登場する映画から紹介したいと思います。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/300moviejp/)
「アルテミシア」、ペルシア戦争の海軍指揮官
「アルテミシア」が登場する映画は、『300 〈スリーハンドレッド〉 〜帝国の進撃〜』です。
登場する時代は、紀元前5世紀の※ペルシア帝国が大軍を率いてギリシアに攻め入った、いわゆるペルシア戦争の頃。
ペルシア軍のクセルクセス大王と同盟を結んでいたのが、ハルカリナッソス(現トルコ西南端)の女王アルテミシア(エヴァ・グリーン)でした。
●エヴァ・グリーン(Eva Green)
誕生日:1980年7月6日
身長:168㎝
出身:フランス・パリ
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※ちょっと妖艶なエヴァ・グリーンの魅力たっぷり!
当時、絶頂期にあったペルシア帝国の兵力は、ギリシア同盟軍を圧倒的に凌ぎ余裕の進軍でした。
迎え撃つギリシア同盟軍の大将は、テミストクレス(サリバン・ステイプルトン)。
陸戦では押されっぱなしの状況が続く中、彼は味方を欺いてまでペルシア軍を海戦に持ち込んだのです。
これが有名なペルシア戦争の転換点となった※「サラミスの海戦」で、海軍司令官でもあったアルテミシアは、ここでテミストクレスと激突することになるのです。
「サラミスの海戦」劣勢の中、戦い続けた才気の女王
歴史学者ユリー・ホン氏が言う「史上最強」は、「直接的に力を及ぼした」として今海戦でのアルテミシアの戦いぶりを絶賛しています。
サラミスはエーゲ海を望む、現在のアテネの南方に位置する小さな島。
入り組んだ島々の間での海戦は挟撃されやすく、もともとアルテミシア自身は海戦に反対していました。
しかし、テミストクレスの策略にハマる形となったサラミス海戦。
案の定、戦況はペルシア軍の劣勢となるのですが、アルテミシアの才気ある戦いぶりは敵味方双方から賞賛されたと言われています。
映画では、すさまじい三段櫂船同士の戦いが繰り広げられます。
船同士をぶつかり合わせ、ひるんだすきをついて敵側の船に飛び移りあとは、刀剣と弓で闘うというやり方です。
見どころは、アルテミシアの弓と接近戦での闘い。
また、アルテミシアとテミストクレスを直接戦わせるという演出は映画ならでは。
当時の歴史家、ヘロドトスが描いた太古の歴史ロマンを、今でこそできる再現映像を堪能して下さい。
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※歴史は戦争によって作られてきた。古代のサラミスの海戦からキリスト教対イスラム教、無敵艦隊、ワーテルローの戦い、ミッドウェイ、そして湾岸戦争にいたるまで、「決戦」から見た「歴史」をフルカラーで詳述、詳細な「戦闘図」もわかりやすい決定版【引用:Amazon】
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「トミュリス」、中央アジアの遊牧民族女王
さて、歴史家ユリー・ホン氏が挙げるもう一人の「戦った最強女性」は「トミュリス」です。
取り上げられた映画は、カザフスタン制作の『女王トミュリス(Tomiris)』。
アルテミシアほど名前が知られていませんが、紀元前550年頃に実在したカスピ海東方のマッサゲタイ族女王です。
周辺が現在の「カザフスタン」であることから、制作国の意味がわかってもらえるのではないでしょうか。
紀元前550年頃は、アルテミシアで紹介したペルシア帝国(アケメネス朝)が、中東から中央アジア一帯に覇権を広げていた時代です。
統治していたのはキュロス大王。
遊牧民族であったマッサゲタイ族女王、トミュリスの元にもキュロス大王からの使者が訪れます。
アケメネス朝、キュロス大王の首を狙う
今作では、幼少期からカリスマ性のあったトミュリス(アルミラ・ターシン)が周囲から信望を集め、結婚後、夫とともに周辺の遊牧民をまとめていく姿が描かれます。
キュロス大王の使者は、王への謁見を求めた結果、はるばる遠征することになったのはトミュリスの夫と息子でした。
しかし、しばらくしてトミュリスは二人の訃報を聞くことに。
女一人になれば、あとの篭絡は簡単だとしてまんまとトミュリスを罠に嵌めたのです。
巨大な大帝国を敵に回してでも「決戦」を選択したトミュリス。
彼女が狙うのは、唯一、キュロス大王の首でした。
『300 〈スリーハンドレッド〉 〜帝国の進撃〜』同様、※ヘロドトスの著書『歴史』に基づく壮大なロマンが、今作は広大な草原の地で展開します。
※参考本
※ギリシアの史家で「歴史の父」と呼ばれ、ヘロドトスの史書は、本来ギリシア語で「探求」を意味するヒストリエと題され、物語風に書かれたという点でも後世に大きな影響を与えた。読みやすさで定評のある労作。【引用:Amazon】
※まるごと一冊「女性」がテーマの特別号。ナショジオ130年の歴史で初めて、筆者も写真家もすべて女性が担当した。これから1年、女性の暮らしや生き方に焦点を当てたプロジェクトを続けていく。【引用:Amazon】
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まとめ:「クレオパトラ」の映画化に期待!
最後に、ナショナルジオグラフィック誌の記事で、もうひとり語られている「史上最強女性」がいますので紹介しておきましょう。
それは、あまりにも有名な※「クレオパトラ」。
こちらは、アルテミシアやトミュリスより歴史は進んで、紀元前50年頃の古代エジプト「プトレマイオス朝」の女王です。
クレオパトラは、往々にして「三大美人」などと性的魅力で語られることが多いのですが、古典学者アナルヤ・バーンズ氏の見方は違っていました。
彼女を史上最強と断じる理由は、当時のヨーロッパで絶大権力を誇っていた、ユリウス・カエサルやマルクス・アントニウスとの関係だと。
激動の時代にありながら、古代エジプトが長らく統一と独立を保ち以降、何千年にもわたり評判が守られたのは彼女のその影響力に他ならないというわけです。
さて、「クレオパトラ」の映画化は1963年のエリザベス・テイラー主演以降、本格的なものはしばらく制作されていません。
今後の映画化が楽しみです。
参考記事:イギリス王室の歴史が面白い映画『エリザベス』、英国史必見「絶対女王」への道!
※参考:「クレオパトラ」動画配信・レンタル・本
エジプトの女王 6人の支配者で知る新しい古代史 (ナショナル ジオグラフィック別冊)
※「神の権化であるエジプトの王」として国を支配していた6人の女性――メルネイト、ネフェルソベク、ハトシェプスト、ネフェルティティ、タウセレトそしてクレオパトラの生涯と、その歴史的背景を、美しい写真とイラスト、精密な歴史地図などによって詳しく解説する。(中略)栄枯盛衰が繰り返された3000年のエジプト史を通じて、彼女たちは正真正銘の「ウーマンパワー」を行使していた。【引用:Amazon】
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