今回紹介するのは『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』(原題:Death and Life of John F Donovan)。
予告編冒頭にもあるように、グザヴィエ・ドラン監督自身の経験が元になった作品です。
グザヴィエ・ドラン監督はレオナルド・ディカプリオの大ファンで、実際にファンレターを送ったというエピソードもあります。
本作のあらすじ、見どころ、そして音楽センスもある監督が使用した素敵な劇中曲もありますのであわせて紹介していきましょう。
グザヴィエ・ドラン監督紹介、初の英語作品
映画界の寵児、グザヴィエ・ドラン監督7作目にして、初の英語作品となります。
グザヴィエ・ドラン監督は知る人ぞ知る、ディープなファンの多い映画監督。
出身はカナダ・ケベック州で、カナダの中でもフランス語圏の地域です。
そのため、本作品の前まではすべてフランス語がメインの映画でした。
彼が表現する世界は、共通点として、
- LGBTQ
- 親子(特に母子)
- タバコ
が挙げられます。
また、人物の輪郭やフォーカスの当て方やクラッシックからポップ音楽まで使いこなす映画作りが特徴で、長年映画を作る巨匠のような芸術的センスを持つ監督です。
1分で読める、『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』あらすじ
映画・ドラマ界のスーパースター、ジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)が弱冠29歳で急逝とのニュースがかけめぐります。
食らいつくようにそのニュースをみつめるのは、一人の少年ルパート(ジェイコブ・トレンブレイ)。
彼はジョン・F・ドノヴァンと文通をしており、スーパースターの裏の顔を知る人物としてマスコミの標的となり、スキャンダルにまで発展します。
彼との文通で明かされる、ジョン・F・ドノヴァンが抱えていた闇。
15年の時を経て、ルパートが語るという形でジョンの本当の姿が明らかになります。
●キット・ハリントン(Kit Harington)
誕生日:1986年12月26日生まれ
星座:やぎ座
身長:173cm
出身:イギリス・イングランド・ロンドン
▶おすすめの代表作品
見どころ:時代を超えて語られる、ジョンとルパートの絆
①深い溝を感じる母子の関係図
ジョンもルパートも、母子関係に問題があることが共通点として語られます。
息子の態度や言動に納得できない母と、理解してくれないとこじらせる息子。
それでも深い愛を感じる複雑な関係図は、グザヴィエ・ドラン監督お得意の設定です。
本作品では、特にルパートが母親(ナタリー・ポートマン)に隠れてジョンと文通していたことで言い合いになるシーンは、見応えがありました。
②ある男性との熱愛スキャンダル
ルパートがジョンと文通していることを学校の発表会で披露したことがきっかけで、「大スターが子供と文通している」と公になってしまいます。
その時ジョンはある男性との熱愛という厄介なスキャンダルも同時に抱えており、追い打ちをかけるような形で彼の精神を削り落としていきます。
一度はメディアで「子供と文通なんてしていない」と事実を拒否し、ルパートを大きく傷つけます。
しかしその後、再びルパートへ手紙を書くことに。
厳しい芸能界で嘘や偽りまみれとなったジョンが絞り出す、最後の手紙は心が締め付けられます。
③ルパートの想い
全体を通じて、大人になったルパートは非常に冷静な態度を貫いています。
ジョンのいない芸能界であっても俳優を目指したことには、ルパートなりのけじめのようなものを感じました。
当時ジョンが叶えられなかったことを自分は叶えることができ、ジョンからのメッセージを確実に自分のものにしたルパートの姿なのではと思いました。
音楽センスも抜群の、グザヴィエ・ドラン監督
グザヴィエ・ドラン監督作品で、語らずにはいられないのはなんといっても音楽。
今作でも、ずらりと並ぶ素敵な楽曲から4曲を紹介しましょう。
①Adele – Rolling in the Deep
オープニングで力強く流れる曲は、Adele(アデル)のRolling in the Deep。
ジョンの光と闇の世界をわずか数分で見せつけるには、ピッタリな楽曲のチョイスだと思いました。
②Green Day – Jesus Of Suburbia
ジョンが車で一人、カラオケする際に流れる曲がこちらJesus Of Suburbia。
Green Day(グリーン・デイ)もなかなか過激なロックバンドで、ジョンのカラオケにも熱が入ります。
③Florence + The Machine – Stand By Me
ルパートが母に黙って一人でオーディションに行ってしまい、母親が雨の中で後を追いかけるシーンにて使用されています。
Florence + The Machine(フローレンス・アンド・ザ・マシーン )のStand By Meです。
田舎町の少年の成長を描く映画『スタンド・バイ・ミー』でおなじみな超有名楽曲です。
本作品の中でも、ルパートの成長を描く助けになっています。
④Lifehouse – Hanging By A Moment
ジョンが母と兄と一緒にお風呂で過ごすときに流れる曲が、Lifehouse(ライフ・ハウス)のHanging By A Moment。
ジョンにとっては、これが最後のシーンとなります。
今作品がもっと好きになるプチ情報
①全カットされた、ジェシカ・チャステインのシーン
実はこの作品には、大女優ジェシカ・チャステインが何かの大物役として出演していました。
元から赤毛の持ち主ですが、さらに赤みが強いスタイル。
印象も抜群です。
しかし、出演シーンは全てカットされています。
ドラン監督はカットした理由を次のように語っていました。
彼女の演技が問題だったのではなく、ストーリーの中でフォーカスすべき内容はやはり親子という点であり、
“悪役的存在としてのキャラクター“
はストーリーにフィットしなかったとして、カットする決断に至ったとのこと。
YouTubeには幻のシーンが公開されていますので、是非チェックしてみて下さい。
②本作品のMVP、天才子役ジェイコブ・トレンブレイ
映画の中で幼い頃のルパートを演じたのはジェイコブ・トレンブレイ。
非常に繊細な役にもかかわらず、観ている者を惹きつける感情的なシーンも素晴らしかったです。
次なる新作は、実写版『リトルマーメイド』のフランダー役。
(公開予定:2023年5月)
とても楽しみです!
●ジェイコブ・トレンブレイ(Jacob Tremblay)
誕生日:2006年10月5日生まれ
星座:てんびん座
身長:171cm
出身:カナダ・コロンビア州バンクーバー
▶おすすめの代表作品
《ライター:Halle》 クリックで担当記事一覧へ→
暇さえあれば、映画観る!がモットー。
映画が好きになったきっかけは、時間を持て余していた大学時代。
うかつにも数々のシリーズ映画に手を出してしまったのです。
Marvel、DC、スター・ウォーズ、トランスフォーマー、パイレーツ…
今ではすっかり映画が生活の一部になってしまいました。
Twitterでも、気ままに映画・海外ドラマネタでつぶやいています。
良かったら覗いてみて下さい(^^)//
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