映画は大好きだけど、忙しくてなかなか観る時間が取れないという人も多いのではないでしょうか?
今回はそんな忙しい人でも、通勤時間や寝る前のちょっとした時間に観られるショートフィルムをご紹介します!
どれもしっかり作り上げられている作品なので、短い時間でも現実世界の疲れを充分リフレッシュできますよ。
1.『隔たる世界の2人』、アカデミー最優秀短篇実写映画賞
「ジョージ・フロイド事件」を元に制作、隠された驚愕の事実
『隔たる世界の2人』は、Netflix配信の短編映画です。
白人警官に殺され続けるというタイムループの世界に入ってしまった主人公カーター(ジョーイ・バッドアス)。
愛犬の待つ家へ帰る為に、白人警官から逃げる方法を探すというSFではよくある設定の物語です。
驚くのは、この物語が2020年5月25日アメリカのミネソタ州ミネアポリスで実際に起こった「ジョージ・フロイド事件」を元に制作されているということ。
事件は警官に首を膝で押さえつけられた黒人男性ジョージ・フロイトさんが死亡したというもので、その理由は警官の呼び止めに応答しなかったからだそう。
路上で約8分もの間「呼吸ができない、助けてくれ」というフロイドさんの訴えを無視し続けた白人警官、その場にいた人の証言、防犯カメラの映像からアメリカの黒人差別の実態が世界に浮き彫りになりました。
この根強い人種差別問題を世界に訴えかけた本作はアカデミー賞「最優秀短篇実写映画賞」を受賞。
BLM (ブラック・ライヴズ・マター)を反映した社会的作品として受け継がれていくのだと思います。
社会性&映画自体の面白さ、どちらも感じられる作品
上映時間32分ということもあり、開始6分には起承転結の”転”が起きているほどテンポ良く話が進みます。
ストーリーもタイムループを抜け出す為に奮闘する主人公に感情移入がしやすく、「どうなるんだろう?」と最後までワクワクしながら見れます。
主な登場人物は3人で会話も必要最低限のラリーでされるので、単純に映画としても面白いです。
エンドロールでは今までのBLMの被害者の名前が綴られ、悲しいことに今も差別による殺人で抗議があがっているのが現状です。
社会的貢献度、映画としてのクオリティどちらも素晴らしい作品です。
2.『SKIN』、子供の目線から描く人種差別とレイシスト問題
レイシストの父親とその子どもに襲いかかる”悲劇”で人種差別問題を描いた本作『SKIN/スキン』は、同じく人種差別をテーマにした短編映画『隔たる世界の2人』とまるでテイストが違う作品になっています。
短編公開後の同年に公開された長編映画『SKIN/スキン』も批評家から好意的に評価され、監督・脚本は本作同様ガイ・ナティーヴが努めています。
本当に日常的、ひょんなことから始まる悲劇
レジに並んでいたら子供がめちゃめちゃ自分を見てくるから、いないいないばあをしたら喜んでくれて、それに気づいたお母さんと「あ、どうも・・・」みたいな経験ってありませんか?
普通だったらそのまま会釈をして終わる出来事ですが、本作はそこから悲劇が始まってしまいます。
スーパーで買い物中、息子のトロイ(ジャクソン・ロバート・スコット)にちょっかいを出されたと勘違いをしたジェフリー(ジョナサン・タッカー)は、「おもちゃを見せていただけだ」と言う男性にして、「黒人が俺を挑発してんのか?」と意味不明なことを言い、その男性を仲間と一緒にボコボコにします。
理由はその男性が、自分が見下している黒人だったから。
ジェフリーは、自分が白人であることに誇りをもっているレイシストだったのです。
差別と復讐から、生まれてしまう負の連鎖
黒人男性がスーパーの駐車場でボコボコにされる間、「お願いだからやめて!」と泣き叫ぶ黒人男性の息子と妻の声を全て無視し暴行を続けるジェフリーとその仲間たち。
ひとしきり黒人男性を殴った後、逃げるように車で走り抜けていくジェフリーの車には苦虫を噛むような表情のトロイ、そのトロイを睨むように見つめる黒人男性の息子。
差別によって復讐心が生まれ、そしてそれがまた差別に繋がる瞬間を対照的な2人の子供の目線から描いている心に残るシーンです。
ジェフリーはその後、黒人男性の仲間たちから拉致され肌の白い部分全てにタトゥーを入れられ、その姿はまるで黒人のよう。
解放され家に帰るジェフリーでしたが、妻のクリスタ(ダニエル・マクドナルド)にも気づいてもらえず不審者扱い。
そして最後のラストに起こる衝撃的な結末も、インパクトが強烈で深く考えさせられるものになっています。
差別が起こるきっかけとしてレイシストがあり、そのレイシストを生み出すのは幼少期の家庭環境が大きく影響してくるのだと思わせられました。
上映時間は20分!第91回アカデミー賞で短編映画賞を受賞している作品で、内容ももちろん素晴らしいです。
とてもコスパのいい作品ですので、最後の結末を知りたい方はぜひ観てください。
アンチレイシストであるためには (イブラム・X・ケンディ )
3.『とっくんでカンペキ』上映時間は2分!思い出す初キス
初キスを思い出す、甘酸っぱ〜い映画
皆さんの初キスはいつでしたか?
筆者は心臓が口から出るんじゃないかと思うくらいドキドキして正直あまり覚えていません・・・。
そんな甘酸っぱい気持ちを思い出させてくれるのが、今回紹介する『とっくんでカンペキ』です!
この映画はなんと上映時間たったの2分。
その中で初キスに向け準備する男の子の様子を描いているのですが、風船相手にキスの練習をしたりととても可愛いです。
ついにキス!という瞬間は男の子のドキドキが画面越しに伝わってくるような感覚になるので、甘酸っぱい思い出を思い出させてくれます。
キュンとしたい方や、癒されたい方にぜひオススメです。
4.『1分間タイムマシン』、タイムトラベル機能の落とし穴
『1分間タイムマシン』は、2014年3月にヴェイル国際映画祭で初公開後、世界の映画際で数々の賞を受賞した作品です。
ベンチで座っているレジーナ(エリン・ヘイズ)を射止める為、1分間前に戻れるタイムマシンを使ってアプローチを繰り返すジェームズ(ブライアン・ディーツェン)のお話。
失敗を繰り返すたびにタイムマシンを使い異なるアプローチをするジェームズは、17回目で遂に自分がタイムトラベルをしてレジーナにアプローチしていることを正直に伝えます。
するとレジーナから衝撃の一言が。
「嬉しいわ。私のために1人で死んでくれる人なんて今までいなかったもの」
??
赤いボタンの秘密、そしてレジーナのとった行動は?
ジェームズはびっくりしてレジーナに説明を聞きます。
すると実際タイムトラベルをしていたのではなく、過去の自分のコピーを作り出していただけという事実が発覚。
ジェームズはタイムトラベルをしていたのではなく、赤いボタンを押すたびに過去の自分を自分で殺していただけなのでした。
ジェームズを励ますレジーナですが、ショックを隠せないジェームズはレジーナからのデートの誘いも断ってしまいます。
ジェームズとデートに行きたいレジーナは、最後にとある行動をするのです。
(勘のいい方はもうレジーナが何をしたか分かるかもしれません。)
この作品も上映時間6分間ととても短い作品ですが、見応え充分な作品です。
まとめ:侮れない!ショートフィルムのクオリティの高さ
短いからこそメッセージが強く伝わるショートフィルム。
まだ観たことのない方は、ぜひ今回ご紹介した4つの作品を試してみてください!
ショートショート フィルムフェスティバルで世界的に注目される作品も毎年たくさん出てくるので、今年もショートフィルムから目が話せません!
《ライター:ほのか》 クリックで担当記事一覧へ→
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