凄惨な「ノルウェー連続テロ事件」を映画化
今回紹介する『7月22日』(原題:22 July)は、2011年7月22日に実際にあった「ノルウェー連続テロ事件」を、ノルウェー・アイスランド・アメリカ合作で映画化されたものです。
(2018年に制作、Netflixで独占配信中)
監督及び脚本は、『キャプテン・フィリップス』を手がけたことでも有名な、イギリス出身のポール・グリーングラス。
映画『7月22日』は実話に基づき、事件当日の犯人の動向、突然の無差別銃乱射の襲撃を受け奇跡的に生き残った若者の対比で構成されています。
このテロ事件のウトヤ島のサマーキャンプに焦点を当てた映画『ウトヤ島、7月22日』は、AmazonPrimeにて配信中です。
2011年7月22日、連続テロ事件とは?
2011年7月22日、アンネシュ・ベーリング・ブレイビク容疑者により、オスロにおいて行政機関の庁舎 が爆破され、続いてウトヤ島で銃乱射事件が発生。庁舎爆破事件により8人、ウトヤ島での銃乱射事件により69人が死亡し、合計77人が死亡した。ノルウェー国内において第二次世界大戦以降の惨事とされている。
引用:ノルウェー連続テロ事件『ウィキペディア』
実際にニューヨーク・タイムズが報道したニュースがこちら
【YouTube:World: Survivors of Utoya Island – nytimes.com/video】
Netflixトレーラー映像&あらすじをご紹介
2011年7月21日。
首都オスロから145キロ東の農場で、ガスマスクを着けた男アンネシュ・ベーリング・ブレイビクは爆薬や化学肥料を使い爆弾を作っていた。
同日、オスロから40キロ西にあるウトヤ島に、ノルウェー労働党青年部の集会に参加するため、多くの10代の若者が到着する。
若者たちは楽しそうに島でキャンプの準備を始める。
オスロにあるノルウェー首相庁舎では、翌日22日首相が若者の失業問題を重要課題として、ウトヤ島を訪問する予定となっていた。
その夜ブレイビクは白いバンに爆薬を積み込み、オスロに向かい実家に一泊する。
ウトヤ島ではキャンプファイヤーをして楽しむ青年ビリヤルがいた。
一夜明けた7月22日。
ブレイビクはヨーロッパ全土に向けてメールを送り、銃を持ち警官の上着を着て白いバンに乗り込み、オスロの首相官邸に車を駐車し、用意していた別の車に乗り換えた。
不審な車に気づいたセキュリティが白いバンに近づいた途端、車は爆破しオスロ政府庁舎は爆破テロで阿鼻叫喚の様相となる。
このテロ事件はウトヤにいる若者たちにも瞬く間に伝わった。
偽警官になりすましたブレイビクは、オスロ政府庁舎の爆破テロを起こした後すぐにウトヤ島に向かい、島の警備と偽り上陸し、参加者の若者たちに銃を乱射する連続テロ事件を起こす。
警察はウトヤ島に若者たちの救出に向かい、犯人ブレイビクを逮捕するが、84人もの未来ある尊い命が奪われ、凄惨極まりない状況だった。
このウトヤ島でブレイビクで撃たれ片目を失なったものの奇跡的に命を取り留めたビリヤルは、ブレイビクの裁判に、卑劣なテロで亡くなった友人たちのために裁判で証言することを決める。
ビリヤルは、身体的精神的苦痛を乗り越えて、どのように証言するのだろうか。
この卑劣な連続テロ首謀者ビリヤルに下された判決とは?
卑劣な連続テロ事件を起こしたブレイビク
2021年度の世界幸福度ランキング(国連発表)の結果では、4年連続で1位フィンランド、2位にデンマーク、4位アイスランド、6位にノルウェー、7位スゥエーデンと、毎年のように北欧諸国が上位にランキングされています。
そんな国民の幸福度の高い国ノルウェーで起こった、連続テロ事件。
映画の冒頭から犯人ブレイビクが、淡々とテロの準備を進める姿、警察に捕まっても薄笑いを浮かべる顔にゾッとさせられます。
このブレイビクの卑劣な連続テロの目的とは一体何だったのでしょうか?
ウトヤ島の銃乱射事件、奇跡的に助かったビリヤル
ウトヤ島で10代の青年たちが700人が参加していた集会『ノルウェー労働党青年部』でブレイビクの無慈悲な銃乱射で、片目を失いながらも奇跡的に助かったビリヤル。
本土から離れた島で逃げ惑うほか術がない若者たちが、崖の下で息を潜めるシーン。
どうか見つかりませんようにと願わずにはいられません。
被害者ビリヤルと、犯人ブレイビクの現在は?
凄惨な事件から11年後の現在、片目を失ったビリヤルは義眼を入れ、前向きにたくましく生きています。
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一方、卑劣なテロの犯人ブレイビクは、仮釈放審理の法廷でナチス式敬礼をするなど、白人至上主義の主張。
反省の色は全くありません。
当然ながら、ノルウェーの裁判所は仮釈放申請を却下しています。
まとめ
テロリストのブレイビクからの視点、事件の被害者および遺族たち視点の両方から、卑劣なテロ事件を描いた『7月22日』。
重傷を負い障害を抱えることになったビリヤルが、前向きに生きるため、そして失った大事な仲間たちのために勇気を出して裁判で証言する言葉に心を打たれます。
テロや戦争などからは何も生まれません。
この2011年のテロ事件があった年は、日本人にとっても東日本大震災で甚大な被害があった年でもあります。
2022年の現在、コロナ禍に、ロシアとウクライナの戦争など心痛むニュースばかりですが、このテロ事件をご存じない方には是非視聴して頂きたい映画です。
《ライター:青木かこ》 担当記事一覧へクリック→
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