みなさんはAmazon Primeに加入していますでしょうか?
個人的にAmazon Primeオリジナル作品には、あまり話題にならないものの、良い作品が多く配信されていると感じています。
ぜひ多くの人に見て欲しいと思い、記事にするようになりました。
(前回は、Amazon Primeオリジナル映画として『眠りの地』を取り上げましたので、ぜひチェックしてみて下さい。参考:プライムビデオ『眠りの地』、実話ベースの法廷映画の魅力を解説!主演二人の演技にも注目!)
さて今回は、同じくAmazon Primeオリジナル映画『アメリカン・フィクション』(2024年2月27日~配信中)をピックアップします。
第96回米アカデミー賞、脚色賞を受賞!
『アメリカン・フィクション』は、2024年3月に行われた第96回米アカデミー賞にて、作品賞・主演男優賞・助演男優賞・脚色賞・作曲賞の5部門にノミネートされ、見事、脚色賞を受賞しました。
(ちなみに、他の4部門は『オッペンハイマー』に敗れました…)
脚色を担当したのは、監督も務めたコード・ジェファーソン。
“脚色”の通り、元ネタはパーシヴァル・エヴェレットの小説「Erasure」です。
「“黒人”ってだけでエンタメになっちゃうの?“黒人”のイメージってこういうこと?これで良いの?」といったメッセージも感じる、非常に皮肉あふれた面白い作品です。
アメリカでは劇場公開されましたが、日本ではAmazon Primeにて配信。
日本での劇場公開は叶いませんでしたが、鑑賞することができて、ありがたや…
では、映画の中身について触れていきましょう。
あらすじ:小説家モンクが迫る、黒人エンタメ!
大学で教鞭をとる小説家モンクは、こだわりの強さが原因で大学から目を付けられ、強制的に休暇を取るように命令されてしまう。
小説家としてもくすぶっていたこともあり、地元ボストンでブックフェスに参加することに。
しかし、モンクの参加するブースでは人が閑散としており、何かがおかしいと感じる。
そこでは、シンタラ・ゴールデンという新星の女性作家が、“黒人”をテーマにした作品で人気をかっさらっていることを知る。
そして、長く疎遠になっていた家族の元に戻るも、年老いた母は軽い認知症を患い、再会したばかりの温かい姉は急逝してしまう。
編集者から新作がボツになった連絡も受け、自らの方向性に悩む中、やけくそになったモンクは自らの信条を捨てて“黒人あるある”の題材を取り上げ、殴り書きのように小説を書き始める。
“My Pafology”という題名で、“スタッグ・R・リー”というペンネームを使って打ち出したこの小説、思わぬ方向へ進みベストセラーとなってしまう。
戸惑うモンクは、この事態をどのように受け止めるのか…?
『アメリカン・フィクション』3つの魅力
①主演ジェフリー・ライト、終始モヤモヤした表情が面白い
主人公である小説家モンクを演じたのは、ジェフリー・ライト。
過去作では脇役が多いイメージがありますが、本作品では主人公としてモンクのモヤモヤした表情を見事に表現している点がみどころだと思います。
モンクが真剣に悩んでいたり、驚きを隠せなかったりするシーンが多く登場しますが、そこに観ている側が思わず笑ってしまうような“面白さ”を与えてくれます。
②正しい評価なのか?黒人エンタメに対する世間のイメージ
黒人作家が自らのこだわりを捨てて“黒人らしさ”を全開にして書いた小説“My Pafology”がベストセラーに“なってしまう”。
そして、作家界で非常に名誉な賞まで“受賞してしまう”、ハリウッドで映画化まで“話が進んでしまう”という、ブラックユーモア溢れた内容です。
ここで注目したいのが、モンクの殴り書き小説“My Pafology”を評価しているのが全て白人であるということです。
中でも印象的ものは、実際に小説“My Pafology”が出版されることが決まり出版社と電話ミーティングしているシーンです。
モンクが「ある提案がある」と唐突に切り出し、「本のタイトルを変えたい」と言い出します。
新しいタイトルは、英語では決して良いとは言えないスラングであり、こんなタイトルでは世に出せないはずのものでした。
突拍子もない提案で、モンクが必死の抵抗を目論んだものの、出版側はまさかのOK。
ますますモンクは頭を抱えてしまうという、滑稽なシーンとなっています。
とんとん拍子で評価されすぎていることに、何の違和感も無いのか…? そういったメッセージを感じます。
③モンクの悩みは尽きない
この作品のもう一つの面白さは、この映画『アメリカン・フィクション』自体も最後まで“黒人エンタメ”について問い続けているという点です。
ラストシーンで展開される、映画化のラストシーンについてモンクは監督から相談を受けます。
(少々ややこしいですが、映画を観れば分かります)
そこではモンクが提案するいくつかのラストシーンが、実際に映画本編で描かれています。
映画監督(こちらも白人です)が「完璧だ」と下した案は、それこそ“黒人あるある”。
自分が避けてきた“黒人あるある”を提案してしまっていること、本当は偽善者なだけだったのではないか自省する心の内が、“Fuck…”というモンクのつぶやきに現れているのではないかと感じます。
まとめ:黒人差別のイメージ、実態はどうなの?
いかがだったでしょうか。
みなさんにとって“黒人あるある”はどのようなイメージがあったでしょうか。
本作品の中でも触れていましたが、「警察官に殺される若者」「マイノリティ」「シングルマザー」「逃亡犯」…これは本当に“黒人あるある”なのでしょうか。
確かに、黒人差別を扱った映画やエンタメ作品は多数あります。
私たちもいつの間にか黒人の歴史や差別について、イメージが植え付けられてしまっているのかもしれません。
実態はどうなのか?改めて疑問を持つ良い機会になると思います。
ということで、黒人に対するアメリカの世相を、皮肉を交えて爽やかに描き切った本作品。
ぜひAmazon Primeで視聴してみて下さい!
《ライター:Halle》
暇さえあれば、映画観る!がモットー。
映画が好きになったきっかけは、時間を持て余していた大学時代。
うかつにも数々のシリーズ映画に手を出してしまったのです。
Marvel、DC、スター・ウォーズ、トランスフォーマー、パイレーツ…
今ではすっかり映画が生活の一部になってしまいました。
Twitterでも、気ままに映画・海外ドラマネタでつぶやいています。
良かったら覗いてみて下さい(^^)//
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