ディストピア・スリラー映画『ニューオーダー』を紹介「超格差社会」が招いた混沌と絶望とは?

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最近、「格差が広がっている」という言葉をよく耳にします。

デフレからインフレに変わりつつある日本では、今後さらに「経済格差が拡大する」と言われています。

そんな「超格差社会」は私たちの目の前に、もうすぐそこまで来ている注目すべきテーマです。

そこで今回は、「超格差社会における混沌」を描いたメキシコ制作のディストピア・スリラー映画『ニューオーダー』を紹介したいと思います。

(冒頭画像:https://klockworx-v.com/neworder/)

※この先の文章には一部ネタバレが含まれております。結末などの核心部分には触れていませんが、予備知識なしで映画を観たいという方はご注意下さい。

映画『ニューオーダー』:あらすじ

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左:マリアン(ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド)https://twitter.com/KlockworxInfo/

この日、資産家令嬢のマリアン(ネイアン・ゴンザレス・ノルビンド)は、最愛の人との結婚パーティーを楽しんでいました。

彼女を祝うため、着飾ったセレブリティたちが豪邸に集い、宴は華やかに賑わいます。

同じ頃、街では貧富の格差に対する抗議運動が激しさを増し、暴動へと発展していました。

その勢いは広がり、富裕層の住む一画へも暴徒が押し寄せ、ついにはマリアンの家にも侵入してきます。

理性を失った暴徒たちは資産家たちに平然と銃を突きつけ、金品を強奪。

さらに、躊躇なくパーティーの出席者たちへ銃弾を浴びせます。

華やかだった宴は一転して、悲鳴と怒号が入り混じる惨劇の場へと変貌します。

偶然家を出ていたマリアンは助かりますが、収容所へと入れられてしまいます。

街では暴動を止めるために、軍隊が武力で鎮圧を図り、戦争状態に。

それまであったはずの秩序は崩れ去り、平穏だった日常は混沌と絶望に支配されるのでした……。

救いのない社会派鬱映画、鑑賞後はご注意

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この作品は「格差問題」をテーマにした社会派映画と言えますが、心を揺さぶられるようなドラマチックな演出を全て排しています。

全編にわたって劇伴が流れず、あくまでも淡々と冷徹に、まるで記録映像でも見ているような印象を持ちます。

それによって、むしろリアルさが際立ち、ショッキングな内容がより強調されて伝わるのです。

同じような手法を用いた類似作品として、スリラー映画『ファニーゲーム』がありますが、スケールの大きさやテーマ性において、本作はそれを凌駕しています。

そのあまりの救いのなさに、映画を観た後は確実に気分が沈み込むため、気持ちに余裕のある時にご視聴することをおすすめします。

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幸せの絶頂から転落、悲劇のヒロインがあまりにも…

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結婚パーティーで最良の日を楽しんでいた資産家令嬢であるマリアンのもとに、治療費が払えずに困っていた元使用人が、援助を求めてやってきます。

心優しいマリアンは、助けるために家を抜け出して街へ出ますが、そこで暴動に巻き込まれ、強制収容施設へと連れていかれます。

身ぐるみを剥がされ、おでこに番号を書かれたマリアンは、暴行されてしまいます。

映画のヒロインに対するあまりにも惨い仕打ちに怒りが湧くとともに、理不尽すぎる展開に呆気にとられます。

裕福な家庭で育ち、何の不自由もない生活を送ってきた心優しいお嬢様が、突如として奴隷のように扱われる。

さっきまで幸せな結婚パーティーをしていたはずなのに、一転して絶望の淵に立たされる……。

その残酷な対比によって、「格差社会」の恐ろしさがより際立って伝わってきます。

日本でも起きる?「超格差社会」が招いた混沌と絶望

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経済格差に反発した民衆が暴動を起こしたことにより、社会秩序が崩壊する様を描いた本作。

その舞台となっているのはメキシコですが、日本でも起こる可能性があります。

「新NISAによる投資ブーム」や「日銀による利上げ」など、2024年に入って経済ニュースが相次ぎ、日本でもインフレが始まったと言われています。

このまま円安が進むと物価が急激に上昇し、庶民は物が何も買えないどころか、貧困に陥ります。

その一方で、株価や不動産価格も上昇するため、資産家たちはその資産を増やし続けます。

その結果、国民は富裕層と貧困層に二分され、「超格差社会」となるのです。

民衆による抗議運動が暴動に発展し、それを武力で鎮圧しようとした時、映画と同じような混沌とした世界が訪れるでしょう。

「ディストピア・スリラー」と言われると、どこか「空想の物語」だと思いがちですが、私たち日本人にとって、実際に起きても不思議ではないリアリティのある映画といえるのです。

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まとめ

映画の中盤で、暴動は収まり、混沌とした状態は終わります。

世界は新しい秩序(ニューオーダー)のもと再出発をすることになるのです。

その新たな社会で実権を握ったのは、一体誰なのか……?

暴動によって格差は解消され、より良い理想の世界となったのか……?

その結末は映画を観てご確認ください。

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プロフィール,げん

こんにちは!ライターの「げん」と申します。

映像が好きで、テレビドラマのプロットなどを書いていました。また、恋愛小説をファッション誌で連載したこともあります。これらの経験をもとに、映画を通して恋愛を学ぶ記事などを書いています。

げん(@GEN87187) / Twitter

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