映画『バビロン』タイトルの意味と新解釈!賛否両論の作品を考察、隠されたメッセージとは?

バビロン
『バビロン』

今回、ご紹介するのは『セッション』『ラ・ラ・ランド』で知られるデイミアン・チャゼル監督最新作『バビロン』です。

本作は、評論家・観客ともに賛否が分かれており、議論を呼び起こしています。

事実、アカデミー賞でも作品賞にはノミネートされておらず「大注目!」と言われていたわりに、あまり伸びていません。

特に評論家も含めた観客で意見が分かれているのが最後の演出です。

筆者は、最後の演出によって心惹かれたのですが、そこには個人的な解釈があったからです。

今回は、かなり穿った見方かもしれませんが、映画『バビロン』の新解釈を提案致します。

ネタバレを含みますので、まだご覧になっていない方はご鑑賞後にお読みください。

(冒頭画像:引用https://mobile.twitter.com/Paramount_Japan/)

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マニーの夢、「長く続くものの一部になりたい」

バビロン
https://mobile.twitter.com/Paramount_Japan/

舞台は、1920年代のハリウッド黄金時代。何もかもが豪勢で華やかな時代。

そんな時代が生んだサイレント映画の大スター、ジャック(ブラッド・ピット)が開くパーティーはまさに酒池肉林。

そのパーティーにて、女優を目指すネリー(マーゴット・ロビー)と、映画製作を夢見てメキシコからやってきたマニー( ディエゴ・カルバ)が出逢う。

そして、ネリーとマニーの「夢」が動き出す。

しかし、時は無情にも移り変わり、サイレント映画の時代が終わりを告げることに…果たして、彼らが迎える”エンディング”とは!?

最後の演出、賛否両論の訳とは!?

バビロン,マーゴット・ロビー
https://www.facebook.com/ParamountPicturesJP/

映画『バビロン』は、デイミアン・チャゼル監督最新作ということで、公開前から話題となっていました。

何といっても1920年代、ハリウッドの黄金時代が物語の舞台なのであれば、監督がどのような描き方をしてどのようなストーリー展開を用意しているのか、気にならない人の方が不思議です。

しかしながら、評論家も観客も感想は二分されている…

その理由は、様々な人が考察していますが、やはり最後の演出にあるように思えます。

最後の演出は赤・青・緑の三原色を挟みながら、映画の歴史を変えてきた作品たちの映像がフラッシュバックするものです。

この中に本作『バビロン』を同じように配置している、と捉える人も多くないようです。

しかし、筆者の個人的見解ではありますが、この最後の演出には、監督の映画への想いが現れているように思えます。

タイトルの由来と意味、『バビロン』とは?

バビロン
左:ネリー(マーゴット・ロビー)右:マニー( ディエゴ・カルバ)https://www.facebook.com/BabylonMovie/

作品の解釈をするため、最後のシーンを理解するために様々な人が考察をしています。

実際には、監督の脳内にしかその答えは存在しないので、私たちは自由に思いをめぐらすことができます。

本作のタイトル『バビロン』はメソポタミアにおける大都市バビロンが由来となっています。

メソポタミアと言えば、世界古代文明の一つであるメソポタミア文明が有名です。

この文明はチグリス川とユーフラテス川に挟まれた「肥沃な三日月」の地で繁栄しました。

2つの河川に挟まれたこの地には栄養豊富な土壌があり、農耕や牧畜に適していたからです。

そのため、このメソポタミアにあった大都市バビロンは人類史上、初めて人口20万人を突破した都市と言われています。

また、大都市バビロンは世界最古の文明の発祥地とされています。

■「バビロン」をもっと知りたい人へ【管理人・選】

※ 今から何千年も前のメソポタミアに、ウル、ニネヴェ、バビロンなど高度な文明を持った都市が誕生した。(中略)もはや見ることも訪れることもできない失われた古代都市が、どのようにして発生し、どのような文明を生み出していったのかを、わかりやすく説明している。【引用:Amazon】

※歴史はシュメールにはじまる。紀元前3500年、文字をもち、大麦を栽培し、神の命のもと王が戦ったティグリス、ユーフラテス川流域に発祥した最古の文明を、図像と楔形文字から読み解く。【引用:Amazon】

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というのも、1週間が7日という考え方を生み出した太陰暦や、1時間が60分、1分が60秒のように時計の基礎である60進法を生み出した文明だからです。

しかしながら、メソポタミア文明は様々な理由を背景に滅亡していきます。

そのため、バビロンという言葉自体が「栄枯盛衰」の象徴の意味で用いられることが多いようです。

実際に、映画産業においても、サイレントが華を咲かせましたが、やがて枯れ、トーキーへと時代が移り変わっていきました。

本作は、映画史を語る作品ではありますが、その部分よりも「栄枯盛衰」という激動の時代に巻き込まれた主人公たちの群像劇だったと言えるでしょう。

この考察はこれまで、無数にあったため、筆者も本作を観て納得しました。

しかしながら、筆者の頭の中には「バビロン」という言葉を聞いて、思い浮かべたもう一つのものがありました。

「バベルの塔」から見える、本作の新解釈

皆さんは「バベルの塔」を知っていますか?

バベルの塔と言えば、画家のブリューゲルが描いた作品があまりにも有名ですが、元々は旧約聖書の「創世記」に登場する物語です。

このことを知っている人はあまり多くありませんが、筆者はこの作品のメッセージはこの「バベルの塔」の物語、そして教訓に隠されているように感じます。

「バベルの塔」とは?

そもそも、バベルの塔とは、バビロンの地にあった天高く伸びた塔のことです。

そして、旧約聖書に登場する物語は下記のようなものです。

ノアの洪水のあと、生き残ったノアの子孫たちは、平原に移り住んだ。

同じ言語を話す彼らは、力を合わせて天まで届く高い塔を建て始めた。

しかし、その様子を見ていた神は、その高慢さに怒り、人間の言語を混乱させて意思疎通ができないようにした。

また、住む場所も散り散りにして、再び高い塔を建てられないようにした。

 

【参考:「バベルの塔」をさらに深読み。以下、管理人・選】


バベルの塔の物語: 旧約聖書絵画集 

ピーテル・ブリューゲルを筆頭に、バベルの塔を主題とした絵画86点を収めた絵画集です。(巻末には、ピーテル・ブリューゲルのバベルの塔の、細部の描写を見てもらいたく、画面を25分割に割り1分割1ページの大画面で掲載してあります。)【引用:Amazon】

▶管理人選 参考:古代の宇宙人【シーズン7】

※古代地球と宇宙の繋がりに迫る大人気ミステリーシリーズ!エピソード11【バベルの塔】

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つまり、私たち人間が別々の言語を話すきっかけは、バベルの塔にあるということです。

また、このバベルの塔という言葉は、物語に由来して「人間の思い上がり」「実現不可能な計画」のたとえとして用いられる言葉になっています。

本作の主人公たちも、自身の才能に酔いしれてしまい、自分で自分を破滅させるとは夢にも見ていなかったことでしょう。

しかしながら、その無茶苦茶さが人間らしさでもあり、実現不可能なことに挑戦することが人生の楽しみであり、歓びに繋がるものだと、本作を観て感じることができます。

言語の壁をも超える、「映画の力」

バビロン
https://www.facebook.com/BabylonMovie/

賛否両論のある本作ですが、筆者個人はバビロンの最後の演出はものすごく感動しました。

映画製作を夢見たマニーは夢破れ、しばらくしてから、懐かしの街に降り立ちました。

その街というのが、ジャックやネリーたちと映画撮影などを通して過ごしたハリウッドだったのです。

彼は思い出に浸りながら、小さな映画館を訪れます。

画面に映るのは、彼らと過ごした日々に繋がる作品たち…それと同時に彼は自身の夢であった「長く続くものの一部になりたい」という言葉が映像とともにフラッシュバックします。

その中で登場するのが、映画の歴史を変えた作品たちのシーンなのです。

バビロン
 マニー(ディエゴ・カルバ)https://twitter.com/Paramount_Japan/

ただただ、映画の1シーンが矢継ぎ早に登場するだけの演出ではあるのですが、その1シーン1シーンを観て、筆者は心をわしづかみにされました。

というのも、そのシーンを一瞬観ただけなのに、その映画を観た時の懐かしい感情が流れ込んできたからです。

映画をはじめ、多くの芸術がそうですが、言葉はいらないんです。

『ラ・ラ・ランド』と本作のラストは非常に似通っていて、実は台詞は一切登場しません。

しかしながら、観客は感動する…監督はおそらく、そうした言葉をも超える映画の力を信じているのではないでしょうか。

もう一つ面白いのは、映画館の観客席の様子を俯瞰で表現していたことです。

映画を真剣に観ている人もいれば、趣味嗜好に合わず寝てしまっている人もいて、中には感情を揺さぶられて泣いているマニーがいました。

映画の力を信じてはいるけれど、一人一人にフィットする作品はある…

そんなことも改めて認識させてくれたように思えます。

映画の歴史・映画の力、それを知る3時間

バビロン
デイミアン・チャゼル監督 https://www.facebook.com/BabylonMovie/

筆者の個人的見解を述べてきましたが、映画をはじめとする様々な芸術に心揺さぶられるのは、言語が通じない世界で私たちが暮らしているからなのではないでしょうか。

言語が通じないからこそ、私たちは相手の感情を読み取ろうと必死になります。

言語が通じないから、言葉とは別の方法で自身の想いを伝えようと努力します。

そうした日々の生活の積み重ねが、私たちを形作っているのです。

映画『バビロン』は栄枯盛衰の物語であることはたしかであり、映画の100年間の歴史を振り返るような作品であることもたしかです。

しかしながら、その裏には言葉なんていらない、デイミアン・チャゼル監督が信じてやまない映画が秘めた力の再認識が重要な要素としてあったように思えます。

サイレントからトーキーへの移行期を描くことで、何か大切なことを思い出させてくれる…

そして、これから沢山の映画と出逢うことが楽しみになる、そんな作品でした。

参考記事(by yuho):映画『バビロン』ブラピ×マーゴット、20年代ハリウッドの常軌を逸したカオスと崩壊する王国

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映画と音楽が人生の主成分のライターのファルコンです。
学生時代に映画アプリFilmarksの“FILMAGA”でライターをしていました。
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