「英国王室」、今までにどれだけの人がこの王室の歴史や暮らしに心惹かれてきたでしょう。
長きに渡るその歴史の中では、愛や欲望が生まれ、血生臭い戦いが起こり、時には絆が紡がれてきました。
現代ではプリンセスたちの気品あふれる姿に女性たちが憧れ、一種のファッションアイコンとしても注目が集まっています。
今回は、私「もな」がリコメンドしたい英国王室関連の良作5選をご紹介!
知的好奇心が満たされる「歴史映画」から、英国王室をもっと身近に感じられる「ヒューマンドラマ」まで。
ロイヤルファミリーを取り巻く世界をのぞいてみましょう。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/ARoyalNightOut/)
《目次:ロマンに溢れた英国王室映画5選》
1.The King
Netflix『キング』(19)
シェイクスピアの戯曲を原作として制作された『キング』は、Netflixオリジナル映画。
本作でスポットが当てられるのは※「ヘンリー5世」です。
後のヘンリー5世となるハル(ティモシー・シャラメ)は自由気ままな王子でした。
それがある日、英国王の父が亡くなったことで若くして王位を継承します。
不本意ながらも王となったハルは、宮廷内の問題やフランスとの対立を乗り越え、やがて民を導く気骨ある英国王へと成長していくのです。
ティモシー・シャラメ、美しさがベルバラ級
今やハリウッドの若手俳優の中でもトップクラスの人気を誇るティモシー・シャラメ。
『君の名前で僕を呼んで』や『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』など、線が細くて繊細な青年役のイメージが強いですよね。
そんな彼が、放蕩王子からタフで気骨ある王になるまでのハルを熱演しています。
一番の見せ場はイングランド対フランスの合戦シーン。
泥にまみれながらも民を導いて戦うシャラメの姿は「美しい!」の一言。
『ベルサイユのばら』にでも登場しそうな姿にため息が出ます。
本作は※百年戦争時代の激動のイングランドの歴史を追えるだけでなく、シャラメの美しさを堪能する映画とも言えるでしょう。
他にも、フランスの王太子ドーファンを怪演したロバート・パティンソンや、後にハルの妻となるフランス王シャルル6世の娘・キャサリンを演じたリリー=ローズ・デップなど。
最旬俳優たちの競演も楽しめる、まさに「眼福映画」です。
■参考:動画配信・レンタル・本【管理人・選】
ヘンリー五世―万人に愛された王か、冷酷な侵略者か (世界歴史叢書)
※百年戦争で仏から領土を奪還した英雄として現在でも英国で人気の高いヘンリー五世。だが、そのイメージはシェイクスピアの作品によって作られたものではないか。中世の歴史劇がその後の英国の歴史観に与えた影響の大きさを、仏側の史料も駆使して明らかにする労作。【引用:Amazon】
※イングランド王、フランス王と、頭に載せる王冠の色や形は違えども、戦う二大勢力ともに「フランス人」だった。また、この時期の戦争は、むしろそれ以前の抗争の延長線上に位置づけられる。それがなぜ、後世「英仏百年戦争」と命名され、黒太子エドワードやジャンヌ・ダルクといった国民的英雄が創出されるにいたったのか…。
2.Mary Queen of Scots
『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』(18)
『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』の舞台は16世紀。
イングランドの女王・エリザベス1世(マーゴット・ロビー)とスコットランドの女王・メアリー(シアーシャ・ローナン)が物語の主人公です。
イングランドの王位に就いたエリザベスのもとに、スコットランドにメアリーが帰ってきたとの知らせが入ります。
メアリーは16歳でフランス王妃となりましたが、未亡人となり、故郷・スコットランドの地で再び王位に就いたのです。
エリザベスは自分と違い美しく、世継ぎとなる息子を産んだメアリーに複雑な思いを抱きます。
やがてメアリーはイングランド王位継承権を主張し始めて……。
従姉妹同士であり、互いに女王という立場を背負うエリザベスとメアリーの運命が交錯していきます。
女性監督が描く、「女王」の葛藤と生き様
英国王室の歴史において、「女性たちの生き様」は多くの人の関心を得てきました。
映画でも、『エリザベス』や『女王陛下のお気に入り』、『ブーリン家の姉妹』など、女王や王室を取り巻く女性たちの愛憎劇は幾度となく題材にされています。
本作でメガホンを取ったのは女性監督のジョージー・ルーク。
彼女はエリザベス1世とメアリー・スチュアートという、とりわけ人気の高い2人の女王の葛藤と生き様を女性の視点から描いています。
2人は「女王」という共通点を持ち、男性社会の中でたった1人で戦わなければならない存在。
国政のために女性であることを諦めたエリザベス1世と、若くして世継ぎを産み美貌も兼ね備えたメアリー。
コインの表と裏のような2人の姿は、成功を選ぶのか女性としての心を優先するのかという、現代の女性にも共感できる葛藤を体現しているのではないでしょうか?
※三度の不幸な結婚とたび重なる政争、19年に及ぶ監禁生活の果てに、エリザベス一世に処刑されたスコットランド女王メアリー。悲劇の運命とカトリックの教えに殉じた、孤高の生と死。【引用:Amazon】
3.The King’s Speech
『英国王のスピーチ』(10)
『英国王のスピーチ』は吃音症に悩んでいた※ジョージ6世の伝記的映画です。
1925年の大英帝国博覧会の閉会式。
父王の代わりにスピーチを行ったアルバート(コリン・ファース)は、吃音症のせいでうまく言葉を発せずに終わります。
夫のことを憂いたエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)は優秀な言語聴覚士のライオネル・ローグ(ジェフリー・ラッシュ)に治療を依頼。
当初は治療にかんしゃくを起こしていたアルバートでしたが、次第にローグと固い友情を結んでいきます。
やがて王位を継いでジョージ6世となったアルバートは、第2次世界大戦開戦にあたって国民にスピーチを行わなければならなくなり……。
国王と治療士の関係、超えた「友情」に泣ける
『英国王のスピーチ』はアカデミー賞作品賞にも輝いた名作です。
本作を名作たらしめた理由の1つは、「国王」という雲の上にも思える存在を人間臭く描いたところにあるでしょう。
アルバートは兄王のスキャンダルを発端に王位を継ぐことになります。
周囲には高慢に振る舞いますが、その態度の裏にあるのは幼少期からの孤独やプレッシャー。
彼の治療士となったライオネルは、アルバートを王族ではなく1人の人間として対等に見て、正面からその人間性と向き合うのです。
そして「病は気から」という言葉どおり、アルバートの吃音症の原因は「心」にあると見抜きます。
2人のやりとりは時にコミカルで、立場を超えた「友人」として絆を結んでいくことに。
映画のために脚色されている部分はありますが、時にぶつかり合いながらも、ライオネルのふとした一言がアルバートの心を救っていく様子に思わず涙が出ます。
困難にぶつかり悩む人であれば誰もが共感でき、勇気のもらえる1作です。
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※第二次大戦中、ラジオを通じて国民を鼓舞し続け、「抵抗の象徴」として英国を勝利に導いたジョージ六世。吃音に苦しむ彼を名演説家へと変えたのは、植民地出の言語療法士ライオネル・ローグだった――。新発見の書簡・日記をもとにローグの生涯を描き出し、映画では語られなかった王との日々を甦らせたドキュメンタリー。【引用:Amazon】
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4.A Royal Night Out
『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』(15)
2022年9月8日、惜しまれつつもこの世を去ったエリザベス女王。
彼女がまだ19歳だった時の秘密の一夜を描いた作品が『ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出』です。
1945年5月8日、6年間続いた第2次世界大戦が終わり、ロンドンは祝福の夜を迎えていました。
エリザベス王女(サラ・ガドン)は父・ジョージ6世の許しを得て、妹のマーガレット(ベル・パウリー)とともにバッキンガム宮殿をあとにします。
生まれて初めてロンドンの街へ繰り出し、お忍びで観光を楽しむ2人。
その夜はエリザベス王女の人生を一変させる、ときめきと感動に溢れた一夜になり……。
『ローマの休日』を生み出した奇跡の一夜
本作は他の英国王室映画とは少し異なり、「ロマンティックでワクワクする冒険映画」だと言えます。
王女がお忍びで街に繰り出すという展開は、オードリー・ヘップバーン主演の名作『ローマの休日』を思い出させませんか?
実はエリザベス王女が過ごした一夜の物語は、『ローマの休日』が基になったとも言われています。
実際に王女たちは、ホテル・リッツやトラファルガー広場、ソーホーといったロンドンの名所を訪れたとか。
しかしその夜何があったのかを知るのは、王女たちだけ。
そんなトキメキの止まらない実話から着想を得て制作されたファンタジー作品が本作なのです。
エリザベス王女がジャック(ジャック・レイナー)という青年と出会って心惹かれていく様子にドキドキしますし、彼女のクラシカルなファッションからも目が離せません。
そして最後には、時期女王としての覚悟を芽生えさせていく姿に感動させられます。
ロマンスと冒険、そして成長物語がぎゅっと詰まった作品です。
■参考:動画配信・レンタル・本【管理人・選】
エリザベス女王 写真で振り返る、国家に捧げた生涯(ナショナル ジオグラフィック別冊)
※2022年9月8日に逝去した英国女王エリザベス2世の生涯を、ナショナル ジオグラフィックの秘蔵写真で振り返る。1952年から70年にわたり、女王として君臨し、公私にわたって数々の話題を振りまきながら、96歳で亡くなるまで、英国、そして世界の人々の敬愛を集めた。21歳のとき国民に語りかけた「私は私の生涯を、偉大にして揺るぎなき国家のために捧げることを皆さんの前で宣言します」という言葉通りに、彼女は生きた。【引用:Amazon】
5.Spencer
『スペンサー ダイアナの決意』(21)
最後に紹介するのは、ダイアナ妃が故郷・サンドリンガムで過ごしたクリスマスの3日間を描いた『スペンサー ダイアナの決意』です。
1991年のクリスマス、ダイアナ妃(クリステン・スチュワート)はエリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウスでクリスマスを祝うことになります。
王族たちが集い、何事もないかのように平穏に過ごす中、ダイアナ妃は自分らしくいられないことに苦しみもがいていました。
夫であるチャールズ皇太子(ジャック・ファーシング)は浮気をしており、執拗なパパラッチに追われ、彼女の精神はやがて限界を迎えます。
追い詰められたダイアナ妃が、サンドリンガムで決めた一大決心とは……?
華やかさの裏側で、流れる不協和音に息が詰まる
ダイアナ妃は庶民から絶大な人気を誇っていましたが、36歳の若さで事故で亡くなったことはあまりにも有名ですよね。
本作では、王族にがんじがらめにされて自由も尊厳も失った「ダイアナ」という1人の女性が追い込まれていく様子をとことんまで描いています。
劇中に流れる不協和音の混じったクラシックは、まるでダイアナ妃の壊れていく心を表しているかのよう。
スリラーを観ているかのような息の詰まる展開に、ダイアナ妃のストレスがどれほどのものだったのかを感じられるはず。
しかしラストにはあっと驚く展開が待ち受けており、映画を観ている私たちもダイアナ妃とともに心救われた気分になれるはず。
最後までこの物語を見届けて、なぜ映画のタイトルがダイアナ妃の旧姓「スペンサー」なのかを考えてみてくださいね。
■参考:動画配信・レンタル・本【管理人・選】
ポスター(ダイアナの決意) (映画:作品情報)
※著者のポール・バレル氏は、死の直前まで10年間ダイアナ元妃に執事として使えた人物。宮殿の内部にいる人間しかしりえない、ダイアナ妃と英国王室の秘密が明かされます。果たして彼女の残した手紙の行方は―。未公開の手紙や写真も掲載した話題の一冊。【引用:Amazon】
まとめ
英国王室の歴史とドラマを垣間見れる良作を、年代順で紹介してきました。
各時代を彩ってきた王族たちのドラマだけでなく、アイコニックなファッションの数々や、見た目にも華やかな小物などにも注目してみると面白いですよ。
英国王室映画はとにかくたくさんあるので、きっとお気に入りの1作が見つかるはずです!
▶英国王室の歴史・参考本【管理人・選】
名画で読み解く イギリス王家12の物語 (光文社新書)イギリス王室ベストセラー本
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ウェス・アンダーソン作品の世界観が大好き!ライターの「もな」です。
映画にどハマりしたのは、小学生の頃に『ロード・オブ・ザ・リング』を観てから。
それからというもの、映画は私の人生にとって欠かせないもので、大学では映画学を専攻しました。
私の書く記事が、誰かと素敵な映画との出会いの場になったら嬉しいです。
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