ラブストーリーにはロマンスを盛り上げるための様々な恋愛心理が描かれています。
今回はおすすめの恋愛映画から、実際の恋愛にも使える心理学的要素を取り上げて、やさしく解説をしたいと思います。
取り上げる映画は、どちらも話題になった人気のラブストーリーです。
名キャストたちによる、セリフとそれ以上に素晴らしい視線や表情だけのシーンを振り返ってみるとよく理解できると思います。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/PhantomThread/)
映画『ファントム・スレッド』:あらすじと見どころ
あらすじ:仕立て屋とモデルの微妙な関係
1950年代のロンドン。
オートクチュール(高級な縫製服)の仕立て屋であるレイノルズ(ダニエル・デイ=ルイス)は、その類まれなデザインセンスと縫製技術で英国ファッション界の天才と称されていました。
ある日、ウェイトレスとして働いていたアルマ(ヴィッキー・クリープス)と出会ったレイノルズは、彼女をモデルとして雇い、家に住まわせます。
アルマはドレスのモデルとして理想的な身体をしていたのです。
レイノルズは良いドレスを作るインスピレーションを得るために、アルマを愛していたのであり、恋愛的に愛してはいませんでした。
それとは反対に、アルマはレイノルズに情熱的な愛情を求めていました。
気持ちを無視した冷徹な態度を続けるレイノルズに、アルマは不満を募らせます。
やがて、アルマは愛を手に入れるため、レイノルズの築き上げてきたもの全てを崩壊させていきます。
ピグマリオン効果:期待されればされるほど…
レイノルズはウェイトレスだったアルマをドレスで着飾り、オシャレなモデルへと変身させます。
さらに、「理想の体型」だと褒め称えることで、アルマを上流の女へと育てるのです。
このように、他者から期待をかけられることによって、持っている能力を通常よりも向上させることを「ピグマリオン効果」といいます。
レイノルズはアルマを着飾ったり褒めたりすることによって、彼女を自分好みの魅力的な女性へと変身させたのです。
「ピグマリオン効果」を恋愛で応用する場合、相手を褒めることが効果的です。
褒めることによって、相手はさらにその期待に応えたいという気持ちになり、あなたの望む理想の恋人になっていきます。
ミケランジェロ現象:相手を支え、お互いが尊い存在へと
アルマはレイノルズの期待に応えるため、彼の求める「理想のモデル」となるべく努力をします。
また、アルマは家に住み込みで働いているため、レイノルズが仕事に専念できるように日常のサポートも担っています。
レイノルズは仕事に集中するための様々なルールを定めているため、アルマはそれに従うことを求められます。
それを忠実に守り続けたことで、アルマはレイノルズのパートナーとなりました。
アルマとレイノルズのように、相手の理想像を理解するとともに、手助けをすることでパートナーとなることを「ミケランジェロ現象」と呼びます。
相手を支える行動を続けることによって、お互いに尊い存在となりえます。
交際相手をサポートするという気持ちで恋愛をすると、より良いパートナーになれると思います。
アンダードッグ効果:助けてあげたい気持ちが大切
普段は仕事に対するやる気に満ち、多忙な毎日を送るレイノルズですがたまに気持ちが弱ってベッドで寝込むことがあります。
そんな時、普段は冷徹な態度をとっているアルマに甘えます。
アルマは弱って寝ているレイノルズに、起きている時よりも強い愛情を覚えます。
このように、相手があまりにも劣勢な状態にある場合、助けたいという気持ちが強まって好意をもつことを「アンダードッグ効果(負け犬効果)」といいます。
相手に同情することで、それと同時に愛情も覚えるのです。
これを恋愛に応用するには、あえて相手に自分の弱い部分を見せ、「守ってあげたい」という気持ちを起こさせると良いと思います。
映画『キャロル』:あらすじと見どころ
あらすじ:何気ないきっかけから始まる
1952年、冬のニューヨーク。
クリスマスを目前に、賑わうデパートのおもちゃ売り場。
カメラマンを目指しているテレーズ(ルーニー・マーラ)は、そこで販売員のアルバイトをしていました。
彼女が店内を眺めていると、優雅な装いをした美人の女性客に目が留まります。
女性の名前はキャロル(ケイト・ブランシェット)といい、娘へのプレゼントを探しに来ていました。
接客を終えた後も彼女のことを忘れられないテレーズは、キャロルが置き忘れた手袋を送り届けます。
そのお礼としてキャロルから食事の誘いを受けたことをきっかけに、二人はその後も会うようになります。
テレーズにはボーイフレンドがいますが、同性であるキャロルにそれ以上の恋心を抱いていることに気づきます。
一方のキャロルはテレーズへの愛情を覚えつつ、娘の親権を巡って離婚訴訟中の夫と揉めていました。
テレーズとキャロルは現実を忘れるように旅に出ます。
彼女たちは二人の世界に入り込み、恋愛を発展させていきます。
■有名な「パトリシア・ハイスミス」の小説が原作【管理人・選】
著者:パトリシア・ハイスミス
※1921年、テキサス州生まれ。45年に「ヒロイン」が雑誌掲載され作家デビュー。『見知らぬ乗客』『太陽がいっぱい』が映画化され、人気作家に。『太陽がいっぱい』でフランス推理小説大賞、『殺意の迷宮』で英国推理作家協会(CWA)賞を受賞。サスペンスの巨匠として多くの作品を発表。生涯の大半をヨーロッパで過ごした。1995年死去【引用:Amazon】
目を合わせてこそ、自然と伝えられるもの
テレーズがキャロルと出会う場面で、二人は目を合わせます。
それは、店員と客としては不自然な長さであったため、「テレーズが恋をした」と分かるようになっています。
この他にも、二人が目を合わせる印象的な場面が、この映画にはたくさん出てきます。
目を合わせる時間の長さは、親密さと比例します。
恋人同士が見つめ合う長さは、5秒以上だといわれています。
これを応用すれば、相手に好意をもたせられます。
全くの他人だったとしても、5秒以上目を合わせることができれば、親密だと相手に錯覚させることができるのです。
好きだから見合ったのか、見合ったから好きなのか、私たちの脳は判断することができません。
目を合わせたということは「好き」なのだと思ってしまうのです。
好きな相手には、積極的に目を合わせるようにしましょう。
相手のマネをして信頼、「ラポールの形成」
テレーズとキャロルが初めて一緒にレストランで食事をする場面があります。
そこで、テレーズは注文を聞きに来たウェイターに「同じものを」と言い、キャロルが頼んだメニューと同じメニューを注文します。
さらにキャロルがタバコを吸い始めたのを見て、それをマネするようにテレーズもタバコを吸います。
これは、キャロルと仲良くなりたいテレーズが、信頼を得るための努力をしているといえます。
人は自分と似た相手を信頼する傾向にあります。
信頼を得ることを、心理学的に「ラポール形成」といいます。
ラポールを形成するためには、「類似性」と「同調性」が重要となります。
私たちは意図せずに、自分と似た生い立ちの相手や、同じような行動をする相手を「相性が良い」と判断しているのです。
初デートの際には、相手と自分との共通点を探したり、相手の言動をマネしたりすると、自然とラポールを形成できます。
参考記事:映画『キャロル』あらすじとLGBTの世界観。複雑でエレガントで、人に見惚れる瞬間を思い出す』
まとめ
ラブストーリーには多数の恋愛心理が描かれているため、観ているだけで自然と心理学を学べます。
みなさんもたくさんの恋愛映画を観て、どんな心理学的要素が描かれているのかを見つけてみてください。
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こんにちは!ライターの「げん」と申します。
映像が好きで、テレビドラマのプロットなどを書いていました。また、恋愛小説をファッション誌で連載したこともあります。これらの経験をもとに、映画を通して恋愛を学ぶ記事などを書いています。
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