音楽映画『君が生きた証』原題の意味。ウィリアム・H・メイシーが初監督で伝えたかったこと

ラダーレス
『君が生きた証』主演ビリー・クラダップ

今回ご紹介する映画はアメリカ映画『君が生きた証』(14)です。

銃乱射事件で、息子を亡くした父親サム(主人公)が、音楽を通して再生するヒューマンドラマとなっています。

監督はコーエン兄弟の代表作『ファーゴ』にも出演しているウィリアム・H・メイシーで、彼の唯一の監督作品です。

銃乱射事件をモチーフした映画はいくつかありますが、この作品は新たな視点から物語を紡いでいます。

あらすじを踏まえつつ感想を述べ、原題『Rudderless』の意味も考えていきます。

(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/rudderlessthemovie/)

参考記事:映画『ファーゴ』実話かフィクションか?ダークすぎる狂言誘拐のクライムサスペンス!

突然、起こった悲劇:あらすじ

主人公のサム(ビリー・クラダップ)は、広告マン。

仕事は順調で大きな家に住み、大学生の息子、ジョシュ(マイルズ・ハイザー)との関係も良好そうです。

ある日、サムは仕事で上手くいき、ジョシュをランチに誘いますが、待ち合わせのスポーツバーに、ジョシュは現れませんでした。

そして、テレビから、ジョシュが通う大学で銃乱射事件が発生したのを知ります。

そして、ジョシュは銃乱射事件がきっかけで、命を落としてしまいます。

残された息子の遺品、生前のオリジナル音楽が…

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2年後。

ジョシュを亡くしたサムは、広告の仕事を辞めて船上暮らしをしていました。

広告会社で働いていた時はスーツを着こなしていましたが、髭を生やし服装もカジュアルな物で、随分と見た目も様変わりしました。

ある日、サムは別れた妻のエイミー(フェリシティ・ハフマン)から、ジョシュの遺品を受け取ります。

ジョシュは生前、オリジナルの音楽を作っており、サムは息子に触れていたいあまりジョシュが遺した音楽をライブバーで披露する事になります。

そして、サムが披露した音楽に、クエンティン(アントン・イェルチン)という青年が感銘を受けて、サムと一緒に音楽をしようと試みますが・・・

重い話だけにはならない、再生への音楽映画

https://www.facebook.com/rudderlessthemovie/

ジャンルとしてはヒューマンドラマでもあり、音楽映画でもあります。

物語の序盤から、かなり重い話になっていますが、この映画の重要なアイテムでもある音楽が作品を徐々に盛り上げてくれます。

サムの息子、ジョシュが遺した音楽は落ち着いた音楽もありながら、アップテンポの音楽も。

最初、サムが一人で歌っていますが、クエンティンと共にバンドを始めると、バンドメンバーが徐々に集まっていき、盛り上がっていきます。

心なしか、サムの表情にも笑顔が見られていきます。

そして、バンドは街で知られるまでの存在へと。息子を亡くし悲しみくれるサムでしたが、彼を再生へと向かっていくのは音楽でした。

音楽を奏でる事によって、サム自身も映画自体のトーンも、明るい方へと向かっていきます。

また、クエンティンとジョシュの年齢がほぼ一緒の事もあってか、サムはクエンティンを息子同然のように可愛がっていき、この関係性が微笑ましくもありました。

●ビリー・クラダップ(Billy Crudup)

誕生日:1968年7月8日生まれ

星座:かに座

身長:174cm

出身:アメリカ・ニューヨーク州

▶ビリー・クラダップの出演映画一覧

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君が生きた証(作品情報)


パーフェクト・プラン 完全なる犯罪計画(作品情報)

原題「Rudderless」の意味とは?

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日本語タイトルは「君が生きた証」ですが、現代は「Rudderless」“かじのない”という意味。

そうです、この“かじのない”とは、サムがジョシュを亡くし、豪華な家を売り払い、船上で暮らす事になった意味を表しています。

まるで、プカプカ浮かんだままの船の事を指しています。

サムは、ジョシュを亡くして以降、ずっと“かじのない”船に乗っているのです。

サムは、どこに行けば良いのか、どこに向かえば良いのかも分からない状況なのでしょう。

日本語タイトルの「君が生きた証」も、物語の終盤を意味する素晴らしいタイトルだと思います。

(ここではネタバレになるので、控えます!)

一方で、原題の「Rudderless」の意味を知っていると、より一層、この作品を味わい深く楽しめると思います。

銃乱射事件を、新たな視点から

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左:ウィリアム・H・メイシー監督 https://www.facebook.com/rudderlessthemovie/

(ネタバレ注意)

物語の中盤まで、ジョシュは銃乱射事件に巻き込まれて、亡くなったと思われるような描き方をしていますが、実際は、銃乱射事件を起こした犯人は、ジョシュ本人だったという事が分かります。

サムは、殺人鬼の父親というレッテルを貼られていたのでした。

2回目を観た人なら、分かると思いますが、ジョシュのお葬式でもマスコミが駆け付けたり、サム本人にも執拗に取材をしていました。

そして、ジョシュのお墓には、いたずら書きをされ、大学の慰霊碑にはジョシュの名前だけがありません。

やはり、この映画の新しい視点というのは、加害者側の家族から描いた所にあると思います。

サムは、人を殺した息子の曲を歌ってもいいのか?

また、殺人者であろうとも、息子の事を大事に思ってもいいのか?という葛藤に揺れます。

それは、サムだけではなく、クエンティンを始めとする登場人物が、ジョシュの作った音楽を純粋に楽しんでいいのか?と、葛藤をするのです。

映画のラストでは、サムが一人でジョシュの音楽を披露しますが、観客の反応が様々で、まさに映画を観ている人たちを映し出していると思いました。

●ウィリアム・H・メイシー(William H. Macy)

誕生日:1950年3月13日生まれ

星座:うお座

身長:175cm

出身:アメリカ・フロリダ州

▶ウィリアム・H・メイシーの出演映画一蘭

▶おすすめの代表作品


ファーゴ(作品情報)

まとめ~父親の中で生き続ける息子~

君が生きた証
https://twitter.com/rudderless_mov/

大学の慰霊碑にジョシュの名前だけ無いのを見つけたサムは、その場で崩れ落ちてしまいます。

サムの中では生き続けていたジョシュが、世間には無かった事になっている。

もう死んだ事になっている事が分かるシーンでした。

サムにとっては、息子が人殺しであろうと、息子に変わりは無いのです。

被害者家族からしたら、許されない話であったり、受け入れがたい事でもあると思います。

サムの気持ちを考えると、複雑な気持ちになり、深く考えさせられます。

《ライター:西 佑真》

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