
第92回アカデミー賞、本作でカズ・ヒロ氏が「メーキャップ・ヘアスタイリング賞」を受賞!
『スキャンダル』は、全米№1のニュース専門放送局、FOXニュース(FNC)社で2016年に起こったセクハラ訴訟を題材にした実話映画です。
「セクハラ」事件といえば、確かにその会社にとっては「スキャンダル」なのでしょうが、原題は『Bombshell』。
もっと深刻でした。
「Bombshell」のひとつの意味は、大企業のトップを最終的に辞任させた「爆弾」の意味と、性的な俗語「かわいこちゃん」の意味とを掛け合わせたタイトルだったのです。
2016年といえば、アメリカの今の大統領選挙選中に起こった出来事で、政治的背景をもった訴訟でもありました。
当然、現トランプ大統領も実名で映画の中に登場してきます。
いったい、FOXニュース社で何があったのでしょう?
FOXニュース社(FNC)と、実名登場の主要人物

現アメリカ大統領が、主要マスメディアが発信するニュースをフェイクニュースと言い切ったのは記憶に新しいところ。
しかし、FOXニュースだけは違っていました。
アメリカでは、FOXニュースはトランプ現大統領の所属する共和党寄りといわれているニュース局なのです。
ここで働いていた実際の社員がモデルで、主要人物は実名登場します。
ちなみに、現在も生存しています。
この辺がアメリカ映画のすごいところで、事件から約2年後から制作、現存する放送局の「スキャンダル」を映画化してしまったのです。
CEOを提訴した、キャスターのグレッチェン・カールソン



まず、長年にわたる社内のセクハラを提訴した人物は、グレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)。
FOXニュース社のベテランキャスターです。
活躍していた最前線の担当を外されたという過去があります。
提訴されたのは、同社の会長兼CEOであるロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)。
CEOとは最高経営責任者のことで、まさに会社の絶対権力者だったのです。
そして、提訴に同調するのが同社人気ニュースキャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)です。
ここまでが実在の人物ですが、ここに社員を代表する意味でニュースキャスターの座を狙う架空の人物、ケイラ・ポスピシル(マーゴット・ロビー)が加わります。
おすすめは(予告編あり)、
参考記事:ニコール・キッドマン出演『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』
おすすめは(予告編あり)、
参考記事:シャーリーズ・セロン主演『タリーと私の秘密の時間』『アトミックブロンド』
おすすめは、意外と知られていません(予告編あり)。
参考記事:マーゴット・ロビー主演『死の谷間』
セクハラの代償、「FOX20億円で和解成立」
さて、この訴訟、実話という意味で結論はすでに世間では周知の事実です。
ひとりの女性キャスターが、勤務する大企業のトップをセクハラで提訴したというニュースに驚いたのはもちろんですが、訴訟の結末にはさらに驚かざるを得ませんでした。
AFP通信が報じた実際のニュースでは、FOX社から20億円で和解が成立したとのこと。
金額は推測とはいうものの、ニューヨークタイムズ社も同額の和解金での解決を報道しています。
なんともすさまじい金額ではないでしょうか!
静まりかえる社内、メーガン・ケリーの場合は?



さて、提訴がわかった時、FOXニュース社の社内の雰囲気はどうだったのでしょう?
「私もそうだったのよ!」とオープンに声を上げる風潮を「#MeToo運動」と言い出したのは、FOX訴訟から一年後の話。
しかし、提訴後の社内では間違いなく「私も!」が出始めていました。
事実、提訴した(あるいは提訴にかかわった)人物は複数人あったとされています。
このあたりのムーブメントが、映画の中でどう表現されているか見どころです。
中でも、提訴に大きくかかわったとされるメーガン・ケリーの場合は、第一線から外されていたグレッチェン・カールソンと違って複雑でした。
彼女は、FOXニュースの人気番組を担当する人気キャスターだったのです。
彼女は大統領選挙選の期間中に、本来FOXニュース社として応援すべき共和党トランプ候補に対し、逆に彼の「セクハラ問題」を厳しく非難していた経緯があったのです。
同時に、彼女はトランプ候補から執拗にTwitterでやり返されていました。
共和党の息のかかったFOXニュース社のCEOに対して、共和党からどんな圧力があったのか興味あるところです。
そこで起こった、同じ社内の同僚グレッチェン・カールソンによる提訴。
メーガン・ケリーの取った行動に注目したいところです。
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セクハラもそうですが、
特に有名な内部告発は、映画にもなった2013年の「スノーデン事件」です。
これは、元CIA職員のエドワード・スノーデンが、国家のよる個人情報侵害が日常的であるとしてマスコミにリークした事件です。
興味のある人は、下記の記事をご覧ください。
参考記事:「元CIA職員の告発映画『スノーデン』、事件から今も逃亡する実録モノ!」
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スノーデン 日本への警告 集英社新書 / エドワード・スノーデン 【新書】
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また、日本のマス・メディアで、実際に起こったセクハラとレイプ被害を訴えたドキュメント本があります。(2017年訴訟)
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参考記事:3月8日「国際女性デー」京都新聞社説
シャーリーズ・セロン、主演女優賞でのノミネート!
今作は、グレッチェン・カールソンの勇気ある行動をたたえる一方で、事件の経緯や関わった人たちの思惑など知りたい点がいっぱいの映画!
ちなみに、第92回アカデミー賞では3部門にノミネートされています。
主演のメーガン・ケリーを演じたシャーリーズ・セロンに主演女優賞。
キャスターを目指す若手社員のマーゴット・ロビーに助演女優賞。



そして、日本人メイクアップアーティスト、カズ・ヒロ(辻一弘)氏にメイクアップ&ヘアスタイリング賞の3冠です。
登場するシャーリーズ・セロンやニコール・キッドマンの顔がなんだか変だと思いません?
これは限りなく本人に似せたカズ・ヒロ氏のメイクの結果でした。
カズ・ヒロ氏は、第90回の『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』で同賞の受賞歴があります。
そして、2月10日の授与式で、見事、「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」を獲得しました!
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