こんにちは!すどうゆきです。
今回ご紹介する映画はインド映画『きっと、またあえる』(原題:Chhichhore)です。
大ヒットボリウッド作品『きっと、うまくいく』を彷彿とさせるこの作品、同様のユーモラスな点も似ているのですが、本作は受験戦争がテーマ。
映画としての面白さに加え、現代のインド社会が抱える課題から、時代感覚にあふれた様々な考える材料を観客に与えてくれる良作です。
(冒頭画像:引用https://twitter.com/ChhichhoreJ/)
はじめに:そもそもインド映画とは
※インド映画になじみのない方へ、まずはインド映画のおさらいです。
インド映画は、豊かな色彩や音楽、踊りを特徴としています。
近年のヒット作品『スラムドッグ$ミリオネア』は、貧困や社会問題を描きつつ、感動的なストーリーが多くの人々の心を掴みました。
一方、『きっと、うまくいく』は、現代の教育システムに疑問を投げかけつつ、友情や人生の意味を考えさせる作品に。
このように、インド映画は独自の世界観と人間ドラマが魅力で、近年世界中から注目を集めているのです!
■※インド映画について【管理人・選】
※日本でも一大ブームとなった『バーフバリ』をはじめ、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』や『パッドマン 5億人の女性を救った男』など多数の情報をまとめた最新インド映画ガイド。フェミニズムや宇宙開発、宗教の融和や身分制度の瓦解など、新たなるフェーズへ突入したインド映画を通じて、もっと”深く”、もっと”濃く”、今のインドを知ることのできる1冊。【引用:Amazon】
原題”Chhichhore”の意味
今作の原題である”Chhichhore“はヒンディー語で「不良学生」や「浮ついた学生」などを意味する言葉です。
この言葉は、主人公たちが大学時代に使っているあだ名でもあります。
今作『きっと、またあえる』は、不良学生たちが大学での出来事を通じて成長していく様子を描いたコメディドラマですので、内容に即したタイトルというわけですね!
映画『きっと、またあえる』:あらすじ
競争率100倍以上のボンベイ工科大学への受験に失敗し、自殺未遂をした息子ラーカブ。
生死の境をさまようラーカブを励ますために、父親アニは大学時代の仲間たち7人を集め、負け犬として共に過ごした大学生活について語り聞かせる。
脚本はニテーシュ・ティティワーリー監督の学生時代を基にしており、一部は同校で撮影された。
主なキャスト
主演:アニ(スシャント・シン・ラージプート)
【病床の息子に、負け犬として共に過ごした大学生活について語り出す…】
『PK』等有名作に出演していましたが、2020年に亡くなったのが大変残念です。
ヒロイン:マヤ(シュラッダー・カプール)
【男だらけの工科大学に舞い降りた美のハレー彗星のマヤ。ハッとする美しさなのに甘さ控えめ。学生時代から30年後まで、変わらぬ芯の強さにぐっと心を掴まれます。引用:Twitter】
■参考【管理人・選】
※日の出の勢いで躍進するインドの未来を担うエリート軍団を輩出する、超難関理系大学ICE。エンジニアを目指す天才が競い合うキャンパスで、型破りな自由人のランチョー、機械より動物好きなファルハーン、なんでも神頼みの苦学生ラジューの“三バカトリオ”が、鬼学長を激怒させ、珍騒動を巻き起こす…。【引用:Amazon】
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テーマ:インドと受験戦争
さて、本作では受験戦争が1つの大きなテーマとなっていますが、実際にインドでは受験戦争が原因で若者の自殺者数が増加しています。
日本でも同様の問題はありますが、インドの人口は日本の11倍ほどですから、より深刻な社会問題となっています。
特に農村部の学生にとっては、受験を経てより良い学歴を得ることが、インドの身分制度であるカーストを乗り越える金のチケットでもあるので、より必死になるというわけです。
学生の自殺には、「新型扇風機」で対策?
成績不振や、周囲からの過剰な期待、ストレスに耐えられず自殺する子供たちが相次いでいるインド。
政府当局の統計によると、2015年には約2600人が自殺したとされており、学生本人にのしかかるプレッシャーの大きさが窺えます。
天井の扇風機にひもをかけて首をつるケースが後を絶たないため、天井から外れやすくした扇風機が売り出されるといった対策が取られているそうです。
本作のラーカブは受験の不合格による絶望から、飛び降り自殺を図りますが、「若者の自殺」というセンセーショナルな事件は、決して映画内だけの問題ではないのです。
インドの未来、負け犬のロールモデルが大事?
絶望から死を選んだ息子ラーカブを救うため、父親アニが取った行動は、自分自身の「負け犬エピソード」を語ること。
ラーカブにとって父アニは「順風満帆な人生を歩むエリート」でしたが、そんな風に見える父親にも負け犬時代があったことを知り、ラーカブの中に変化が生まれていきます。
彼は「元負け犬」の父親をロールモデルとして学ぶことで、失敗に打ち勝ち、希望を持ち、自分自身を成長させていくのです。
自分と似た失敗を経験し、それを乗り越えた経験を持つロールモデルの存在は、自己成長や人生における目標達成を促す大きな刺激となります。
そんなロールモデルの重要性を描く本作ですが、フィクションの中だけではなく、現実のインドでも大事な考え方となりそうですね。
■知っているようで知らないインド【管理人・選】
※知られざる大国・インドの素顔を紹介!2027年には人口で世界一に、28年には日本を抜いてGDPが世界3位になれることが予想されているインド。この新しい大国の実情や日本との知られざるつながりについて、池上彰が徹底解説!【引用:Amazon】
※格差上等、差別当然、腐敗横行のインド社会で、人々は誇り高きレジリエンス=たくましさとともに、驚くべき強さを身につけていた――。(中略)超格差社会にあるインドの人々の生き様こそが、“新しい強さ”を持って生きぬかなければならない現代への示唆となるはず。【引用:Amazon】
まとめ
今回はインド映画『きっと、またあえる』を、インドの社会的課題と絡めてご紹介しました!
題材は少々重ためですが、青春の甘酸っぱさ、ユーモア、コミカルなシーンと盛りだくさんなので、『きっと、うまくいく』が気に入った方にもおすすめです。
気になりましたら鑑賞してみてください。
最後に「さいきん自分の世界が狭くなっているな…」と感じたら読む本をご紹介。
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●洋画好きのすどうです。英語が飛び交う環境で働くペーペー社会人。
映画鑑賞で英語上達を画策中。
※未来のあんたはなにひとつ後悔しない――痛快! 爽快! ゆかい! 世の中ってこーだったのか!社会派ブロガーが、オリジナル視点で見つめた、思考と思想の本。
著者:ちきりん
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