映画『search/#サーチ2』を考察、 斬新な映像手法と多様性を反映した作品のこだわりとは?

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多様性の時代を、感じさせる設定に!

今回紹介する作品は、2018年に公開されその斬新な撮影手法から大きな反響を呼んだ映画『search/サーチ』の続編『search/#サーチ2』です。

物語のすべてがPCの画面上の映像で構成されるという奇抜なアイデアであるにもかかわらず、秀逸に練り上げられた脚本・演出の効果でサスペンスアクションの醍醐味を存分に味わえる本作。

前作の迫力をさらにパワーアップ、巧みな演出で見るものを緊張感たっぷりの世界へと誘います。

(冒頭画像・引用https://www.search-movie.jp/share/)

映画『search/#サーチ2』:作品情報

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https://www.search-movie.jp/share/ 【YouTube:予告編】

突然疾走した母の行方を追う娘が、その中で自身も知らなかったさまざまな謎に出くわしていく過程をすべてPCの画面上の映像で展開させるという斬新な映像で披露するシリーズの第二弾。

前作『search/サーチ』で監督・脚本を手がけたアニーシュ・チャガンティが原案・プロデュースを担当、前作の編集を担当したウィル・メリックニック・ジョンソンが共同で監督を務め、両者ともに監督として長編デビューを飾りました。

主人公の少女ジューン役ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結『ワイルドロード』『透明人間』などのストーム・リードが担当。

キャストには他にも『バッドアス!』『アルフィー』などのニア・ロング『チェ 39歳 別れの手紙』『ワイルド・スピード MEGA MAX』などのヨアキム・デ・アルメイダ『ラッシュアワー』『ソウ』などのケン・レオンら個性派、実力派が集結しました。

映画タイトルsearch/#サーチ2
原題Missing
監督ウィル・メリック、ニック・ジョンソン
出演ストーム・リード、ヨアキム・デ・アルメイダ、ケン・レオン、エイミー・ランデッカー、ダニエル・ヘニー、ニア・ロングほか
公開日2023年4月14日(金)
公式サイトhttps://www.search-movie.jp/ 【YouTube:予告編】

■2023年 /アメリカ映画/カラー/PG12/111分

映画『search/#サーチ2』:あらすじ

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母親グレイス(ニア・ロング)とともにロサンゼルスに住む高校生ジューン(ストーム・リード)

ある日母にインターネットによりケヴィン(ケン・レオン)という男性が近づいてきたことが発覚します。

母を心配しながらも思春期のいたりで疎ましく思うこともある彼女は、これ幸いと母親がケヴィンとともにコロンビアに旅行に行くことを容認します。

ところがこの旅で母は突然消息を絶ってしまいます。

デジタルネイティブ世代真っ盛りのジューンは、検索サイトやSNS、さらには代行サービスなどサイトやスマホのアプリを駆使しその行方を追っていきます。

ところが一つの手がかりにたどり着くたびに事件は思わぬ方向へ進んでいき、ジューンは翻弄されていきます。

そしてそんな中で、彼女は自分が知らなかった母の秘密、そして自身の運命にたどり着いていくのでした…

斬新なアイデアの裏にある、新たな潮流を生む可能性

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2018年公開の前作『search/サーチ』は、PC上の画面映像のみで展開していくその斬新な手法で話題を呼びました。

1999年に公開された映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』は、それまでの撮影手法とは全く異なるPOV(Point Of View:主観的)手法による映像で大きな反響を得ました。

そして、その後『REC』『パラノーマル・アクティビティ』などのフォロー作品を次々と排出、さらにその手法はジャンルを超え作品作りの新しい可能性を切り開いていきました。

同様の意味において『search/サーチ』、そして本作『search/#サーチ 2』もまた、今後同様の手法によるフォロワー的作品を生み出していく一つの契機となる可能性をはらんでいるといえるでしょう。

その論拠となるのは、やはり脚本及び演出の完成度にあります。

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前作『search/サーチ』より

単に奇をてらうアイデアとして「PCの画面上だけで展開していく物語」という格好の物語を作ったとすれば、おそらく動画配信サイトなどで話題となる全く別次元での映像展開として取り上げられていき、映画という領域で注目されることはなかった可能性もあったでしょう。

本作を発表したのはアメリカのSTAGE 6 Films。

当初は低予算の長編作品を排出してきた制作会社ですが、近年は多くの話題作を発表し注目を浴びているレーベルの一つ。

斬新なアイデアに意欲的にチャレンジしながら、一方で「映画らしさ」にこだわるポリシーも感じられる映画製作レーベルであります。

前作を手がけたインド系アメリカ人監督のアニーシュ・チャガンティは、本作では原案、プロデュースを担当しました。

そしてその作品を引き継ぎ本作を完成させたのは、ウィル・メリックニック・ジョンソンという気鋭の二人。

斬新なアイデアを巡らせながらも劇場作品としてのステータスを忘れていないところに、STAGE 6 Filmsならではの作品作りへのこだわりも見えるところであります。

スクリーン上では目まぐるしく開かれ、そして閉じられるウィンドウ映像の展開にしっかりとサスペンス的な緊張感を醸し出す意味づけがなされ、本作が「劇場公開作品」である意義をしっかりと支える土台が形成されていることがうかがえます。

進化した「新手法」の演出を考察

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パーク捜査官(ダニエル・ヘニー)https://www.search-movie.jp/share/

本作映像は大半がPC画面上の検索表示などによって占められる一方で、ときに映し出される監視カメラやテレビ電話等の映像が物語の現実感を生み出す重要な役割を生み出します。

この映像に登場する俳優陣は、主人公ジューンを演じるストーム・リードなど話題作にも多く出演しているプロフェッショナルな役者ばかり。

しかしこの役者陣を配しながら、映像はどこか演技っぽくない、まさしくPOV的な写り方となっています。

この手法は一般的なジャンル映画に見慣れている身からすれば少し面食らうかもしれません。

ところが映像を見進めていくうちに、これが物語の秀逸な空気感を生み出すための秘策であることが感じられることでしょう。

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そして本作の最大の特徴である、ハラハラドキドキの緊張感を生み出す効果。

単にウィンドウ上で検索を繰り返している映像なのに、映像を見る人は自分がいつしかまるで主人公となってPCの画面を覗いている気分になります。

ドキュメンタリーチックな作風であるはずが、絶妙に画面の動きに絡むBGM、そして見ている人物の不安な心情を表すズームの妙技。

作品はできるだけ人物を写しだすタームを排除しながら、かつ事件の現実感を最大限に想起させるためのさまざまな秘策が随所に散りばめられています。

物語はいつしかサスペンスの最前線へあなたを引き込んでいくことでしょう。

■こちらもぜひ見てほしい!斬新な手法が光る前作品とU-NEXT

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※突然疾走した一人娘を探すべく奔走する父の姿を、PCの画面のみで構成するという斬新な手法で追ったスリラー。韓国系アメリカ人俳優でコメディアンのジョン・チョーが主演を務めました。

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多様性の時代を、感じさせる設定に

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また本作、シリーズのユニークな点は、キャストに多様な人種を起用しているところにあります。

主演のリード、母親グレイス役のニア・ロングは黒人、事件の重要なカギを握る母の新たな恋人ケヴィン役にはアジア系のケン・レオン。

他にも多様な人種が存在します。

前作は韓国生まれのアメリカ人俳優ジョン・チョー、同じく韓国系のミシェル・ラーらがメインキャストを務めており、軽快に楽しめるジャンル映画とは少し違うテイストが感じられる作品となっています。

第95回アカデミー賞授賞式で7部門を制した映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』ミシェル・ヨーキー・ホイ・クァンといったアジア系の役者で移民系の家族を中心に物語を描いており、※「多様性」がうたわれる現代の一面を描いているようでもありました。

そんな点からも、前作より続くこのシリーズは時代の大きなポイントを示した作品であると見ることもでき、直接的な表現以上にスケールの大きさを感じられるものでもあります。

その根源にはグローバルに物語を見つめる視点が存在しているがゆえといってよいでしょう。

関連記事:キー・ホイ・クァン20年ぶりの出演作『エブエブ』を考察!難解な演出の先に見える世界とは

※多様性のこと:参考【管理人・選】

多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織

※シリーズ10万部突破! (2023/3 ディスカヴァー・トゥエンティワン調べ)なぜ一部の組織や社会はほかに比べて革新的なのか?経済をさらに大きく繁栄させるには、多様性をどう生かせばいいのか?【引用:Amazon】

《ライター:黒野でみを》 クリックで担当記事一覧へ→

黒野でみを,プロフィール40歳で会社員からライターに転身、50歳で東京より実家の広島に戻ってきた、マルチジャンルに挑戦し続ける「戦う」執筆家。映画作品に対して「数字」「ランク付け」といった形式評価より、さまざまな角度からそれぞれの「よさ」「面白さ」を見つめ、追究したいと思います。

nandemonews20201225@gmail.com

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