昔のハリウッドはどんな所だったのか。
その華やかな世界で何が行われ、どのようにして映画が作られていたのか。
かつて映画史を描いた『雨に唄えば』が大ヒットを記録し、今なお語り継がれているように、こうした物事に興味を持つ映画好きは少なくないことでしょう。
今回はそんな「映画好き」の人に向けて、60年代のハリウッドを舞台とした作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』をご紹介していきます。
(冒頭画像:引用https://www.facebook.com/OnceInHollywood/)
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』:作品概要
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、2019年に公開されたアメリカ映画です。
『キル・ビル』や『パルプ・フィクション』で知られるクエンティン・タランティーノ監督がメガホンを取り、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの2人が主演を務めています。
今作は、一大ジャンルだった西部劇が衰退した60年代のハリウッドを舞台としており、華やかな世界の暗い一面や、当時起きた大事件などを物語の下敷きとしています。
あらすじ:かつての名優、苦悩するリックに隣人が…
かつて西部劇のスターとして一世を風靡していたリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は、ドラマの悪役といった単発の仕事しか来ないような落ち目の状態にありました。
その影響は、リックの親友兼専属スタントマンとして活動しているクリフ・ブース(ブラッド・ピット)にも及んでいます。
特にクリフは過去のトラブルから仕事をもらえず、リックの身の回りの世話をすることに明け暮れていました。
そんな中、リックの隣の家に、映画監督のロマン・ポランスキーとその妻である女優シャロン・テートが引っ越してきます。
ポランスキーは当時大人気の映画監督であり、シャロンもまた、徐々に知名度を高めつつある女優。
リックは隣人との違いに苦悩するのでした。
そんなある日、リックの頼みでリック宅の屋根の修理をしていたクリフは、隣のポランスキー宅に不審な車が訪れるのを目撃します。
●レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)
誕生日:1974年11月11日
身長:183㎝
出身:アメリカ・カリフォルニア州
▶おすすめの代表作品
実際の事件を元に、「なかったこと」を描く
実際の事件や歴史を題材にし、忠実に再現したノンフィクションが好きな人は多いことでしょう。
ノンフィクション作品を見ていると、気になって仕方がなかった「ある出来事が」目の前で起こっているような奇妙な感覚に捉われます。
そしてこの感覚こそが、ノンフィクション映画を見る醍醐味でもあります。
今作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』もまた、60年代のハリウッドと実際の事件を元にして制作された作品の一つです。
作中にはポランスキー監督やブルース・リー(扱いは大きくないため、探してみてくださいね!)などの実在の人物が数多く登場しており、想像上の人物である主人公二人にもモデルがいます。
しかし、今作は決してノンフィクションではありません。
むしろ「なかったこと」を描いた作品として、虚構と現実を見事に混ぜ合わせた、究極のフィクション作品と言えるのです。
『イングロリアス・バスターズ』の系譜を継ぐ作品
虚構と現実を混ぜ合わせた作品としては、同じタランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』が挙げられます。
この作品は、ナチス・ドイツとその壊滅を目論む個人&組織を描いたもので、史実とフィクションが絡み合いながら物語が進行していきます。
そして、『イングロリアス・バスターズ』は今作と同様に、「なかったこと」を描いた作品でもあります。
つまり今作は、『イングロリアス・バスターズ』の系譜を継ぐ作品だと言えるでしょう。
●ブラッド・ピット(Brad Pitt)
誕生日:1963年12月18日生まれ
星座:いて座
身長:180㎝
出身:アメリカ・オクラホマ
▶おすすめの代表作品
「なかったこと」を楽しむ鑑賞方法
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は「なかったこと」を描いているのですから、十分に楽しむためには少しコツが必要です。
そのコツとは、予備知識を仕入れておくこと。
特に、マカロニ・ウエスタンやマンソン・ファミリー、「シャロン・テート殺人事件」などを軽く調べておきましょう。
今作をなんの知識も仕入れずに見た場合、楽しむことはできたとしても、置き去りにされた感覚になるはずです。
作中で何が起こっているのか分からずに、ストーリーが先走ってしまうからです。
しかし、予習をしておくとどうなるでしょう。
作中に散りばめられた点同士が繋がり、ストーリーの細部が見えてくるはずです。
そして、全ての点が繋がったとき、爆発的な面白さを感じることでしょう。
「ファミリー上: シャロン・テート殺人事件」 (著エド サンダース)
マンソン・ファミリー悪魔に捧げたわたしの22カ月(著ダイアン レイク)
名俳優二人の共演に、タランティーノ節が炸裂する
今作の主演を務めるレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットは、素敵な見た目と確かな演技力を持つ、ハリウッドを代表する名俳優の二人です。
そしてタランティーノもまた、数々のヒット作を生み出す名監督です。
彼の監督作品を見たことがある人ならば分かる通り、タランティーノと言えば、爆発的な容赦しない暴力描写が持ち味の監督です。
飛び散る血しぶきに、やりすぎだと思える描写。
その描写は過激すぎるため、目を背けたくなる人がいるかもしれません。
また、興味はあっても手が出せない人もいることでしょう。
●クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)
誕生日: 1963年3月27日
身長:185㎝
出身:アメリカ・テネシー州
▶おすすめの代表作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
※古き良き時代のハリウッドが、シャロン・テート事件とともに蘇ります。
しかし、今作は二人の名俳優の演技がタランティーノ節の中で光り、恐ろしいシーンが不思議と魅力的に映ります。
ブラッド・ピット演じるクリフの(人を殴り、自分も刺されながらも)飄々とした表情や、ディカプリオ演じるリックの、優雅さを演じながらも内心はギリギリな危うい言動が、タランティーノ示す暴力の中に溶け合っているのです。
ちなみに、今作ではクリフが暴力描写のメインを担っています。
しかし、一番タランティーノ風味を感じるのは、リックがプールで火炎放射器を放つシーン。
ぜひ実際に見ていただきたいと思います。
まとめ
世界に名を知られる名俳優二人と、人により好みはあれど、素晴らしい作品を生み出し続ける名監督。
こういった人々がタッグを組んだ今作が、面白くない訳がありません。
とはいえ、癖の強いタランティーノ監督作品のこと。
今まで彼の作品に触れたことの無い人は、この記事を読んで、ある程度の下準備と心構えをしておきましょう。
そして今作が面白ければ、ぜひ、『イングロリアス・バスターズ』も鑑賞してみてください。
《ライター:オオノギガリ》
洋画が大好きwebライター。王道の物語も大好きですが、少し捻った作品を偏愛しています。大好きな映画監督はクリストファー・ノーランとクリント・イーストウッド。
主に映画内容の考察を得意としており、魅力に溢れながらも「わかりにくい映画」を最後まで楽しめるお手伝いができればと考えております。
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