台頭する女性監督の洋画作品が話題に。映画界の男女間格差に変化が

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グレタ・ガーウィグ監督(『ストーリー・オブ・マイライフ』)

【3月8日:国際女性デー】最高傑作を届けてくれる女性監督

映画界で、指摘される声が多いのが男女間格差の問題です。

撮影や制作現場に力仕事が多く、過去から典型的な男性中心社会だった結果だと言われています。

男優・女優で異なる待遇面や、差別問題、セクハラ問題が顕在化してきていますが、意外なのはこういったジェンダー問題がクローズアップされるのはここ最近のこと。

文化度の高いはずの映画産業のこと、開けた業界と思いきや古い慣習や実態を知ると驚かざるを得ません。

参考記事:NHK:WEBニュース

さて、そんな中で今回取り上げ紹介するのは女性監督です。

人数、作品数そして各種映画賞の受賞まで、まだまだ少ないと言われる中で今、最高に注目され話題作を作り続ける女性監督がいます。

今記事ではぜひその代表作を紹介したいと思います。

1.Greta Gerwig

グレタ・ガーウィグ監督『レディ・バード』で注目!

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『ストーリー・オブ・マイライフ』

まず最初のこの画像は、グレタ・ガーウィグ監督『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の制作インタビュー時のもの。


ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 (予告編)

このやわらげな表情は、映画監督のイメージとは少し違ってどちらかといえば女優そのもの。

それもそのはず、彼女は映画賞をとった経験のある元本格女優です。

彼女が監督として注目されたのはつい最近で、2018年公開のシアーシャ・ローナン主演『レディ・バード』でした。

ほぼはじめての監督作品だったのですが、なんとアカデミー賞監督賞脚本賞にノミネートされ、世間をアッと言わせました。

そして、その2年後。

同じく主演シアーシャ・ローナン他、メリル・ストリープローラ・ダーンといった名優と、新進のフローレンス・ピューティモシー・シャラメを迎えた『ストーリー・オブ・マイライフ』を発表。

アカデミー賞では作品賞はじめ6部門にノミネートされ、コロナ渦での公開でしたが注目を集めた映画となりました。

2.『レディ・バード』など作品一覧

●グレタ・ガーウィグ監督(Greta Gerwig)

誕生日:1983年8月4日生まれ

出身:アメリカ・カリフォルニア州

▶グレタ・ガーウィグ監督の制作作品一覧(出演含む)

▶おすすめの監督作品


レディ・バード (予告編)

※監督出身のサクラメント時代を被らせているのでしょうか…。

参考記事:卒業・入学式、旅立ちの日のおすすめ映画『レディ・バード』 

(ガーウィグ監督の世界観を表した本も出版されています。)


グレタ・ガーウィグの世界 ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 

3.Patty Jenkins

パティ・ジェンキンス監督、ガル・ガドットと再タッグ!

https://www.facebook.com/GalGadot 左:ガルガドット 右:パティ・ジェンキンス監督

グレタ・ガーウィグ監督の作品が、女性の生き方に焦点を当て男性は劇中で脇役になっているのと同じく、こちらパティ・ジェンキンス監督作品も同様です。

しかし、表現や題材は全く異なり、ジェンキンス監督の代表作『ワンダーウーマン』を見れば一目瞭然。

「スーパーマン」や「バットマン」など男性中心だったアメコミ界のヒーローに代わり、「女性ヒーロー」にスポットを当てたのがジェンキンス監督です。


ワンダーウーマン(予告編)

前作のメガヒットに続き、続編の『ワンダーウーマン 1984』も圧巻の大作でした。

どちらも最近の作品ですが、2003年には『モンスター』というスゴイ映画も作っていました。

主演のシャーリーズ・セロンの体当たり演技の方が話題(アカデミー賞主演女優賞獲得)になりましたが、こちらも素晴らしい作品でした。

4.『ワンダー・ウーマン』など作品一覧

●パティ・ジェンキンス監督(Patty Jenkins)

誕生日:1971年7月24日

出身:アメリカ・カリフォルニア州

▶パティ・ジェンキンス監督の制作作品一覧

▶おすすめの監督作品


ワンダーウーマン 1984(予告編)

※前作からさらにバージョンアップ!スティーブとも再会し大活躍!

さて、もう一作。

ガル・ガドットとタッグを組んだ次の映画が注目されています。

それは、あの歴史大作『クレオパトラ』

ガル・ガドットのInstagramで、「物語を語りたいと願う世界中の女性や少女へ」というメッセージとともに、米デッドラインニュース社の記事をアップしました。

楽しみですね!

 

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5.Kathryn Bigelow

キャスリン・ビグロー、女性初めてのアカデミー監督賞!

キャスリン・ビグロー
http://www.usatoday.com/

さあ、女性映画監督で最も有名な人といえばこの人、キャスリン・ビグロー監督

イラク戦争の爆弾処理班を描いた、2008年の『ハートロッカー』で、女性初めてのアカデミー賞監督賞を受賞しました。

女性監督というバイアスで映画を観ることはよくありませんが、とにかくそのハードさには圧倒されます。

受賞後のスピーチで、「この作品を世界各国で命懸けで従軍しているすべての男女に捧げたい」と述べています。

6.『ハート・ロッカー』など作品一覧

●キャスリン・ビグロー監督(Kathryn Bigelow)

誕生日:1951年11月27日

身長:182㎝

出身:アメリカ・カリフォルニア州

▶キャスリン・ビグローの監督作品一覧

▶おすすめの監督作品


ハート・ロッカー(予告編)

※爆弾処理の緊張感はハンパではありません!

その後、ウサーマ・ビン・ラーディン殺害の実話をもとにした『ゼロ・ダーク・サーティ』

今も後を絶たない黒人差別事件ですが、これは白人警官による黒人射殺事件を扱った『デトロイト』

(参考記事:米黒人暴行死!実態を暴いた映画『デトロイト』、今も続く人種差別の構図!)

社会派監督といえばそれまでですが、いずれも実際の一大事件をベースに制作されており、そのリアル作品には手に汗を握ります。

まだまだ今後の活躍に期待したい監督です。

7.Sofia Coppola

ソフィア・コッポラ監督、スーパーセレブのガーリーな世界

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https://www.facebook.com/BeguiledMovie 左:ソフィア・コッポラ監督 中:エル・ファニング 右:ニコール・キッドマン

「ソフィア・コッポラ」という名前を聞いて、特徴あるファミリーネームに思い出す人もいるのではないでしょうか。

そう、『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』「フランシス・フォード・コッポラ」監督の娘になります。

父親自身が、「ゴッドファーザー」のような存在で家族にはそうそうたるメンバーが名を連ねる一家です。

そんなスーパー・サラブレッドの家系を持つソフィア・コッポラ監督は常にセレブ感が満載。

映画にも独特の世界観を表現する女性監督です。

8.『ビガイルド』など作品一覧

●ソフィア・コッポラ監督(Sofia Coppola)

誕生日:1971年5月14日

出身:アメリカ・ニューヨーク州

▶ソフィア・コッポラ監督作品一覧

▶おすすめの監督作品


The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ(予告編)


マリー・アントワネット (通常版) [DVD] 

代表的な映画は、「ガーリー・カルチャー」「ガーリー・ファッション」の元祖と言われるだけあって、登場する女性のファッション信奉者が多く存在。

代表的な映画に、『マリー・アントワネット』(アカデミー賞衣装デザイン賞)、『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』(第70回カンヌ国際映画祭・監督賞)などがあります。

冒頭の画像は、「ビガイルド」で起用したエル・ファニングニコール・キッドマンと打ち合わせをする監督。

こんなキレイな衣装をまとった女ばかりの住む寄宿舎が舞台の映画で、そこでとんでもない殺人事件が起こります。

最新作『オン・ザ・ロック』(スター・チャンネル)では、結婚し2児の母となった監督同様、新たなステージに立った女性が描かれています。

9.Karyn K. Kusama

カリン・クサマ監督、話題映画の『ストレイ・ドッグ』

カリン・クサマ,ストレイドッグ,ニコール・キッドマン
https://www.facebook.com/DestroyerMovie 左:カリン・クサマ監督 右:ニコール・キッドマン

最後の紹介するのはこちら。

このツーショットは、『ストレイ・ドッグ』(原題:「Destroyer」)のPRシーンで、左がカリン・クサマ監督

東洋系の雰囲気と名前から察する通り、彼女は日系アメリカ人です。

映画タイトルは、クサマ監督の尊敬する日本の黒沢監督の「野良犬」がルーツとのこと。

そして、左にいるのは主演のニコール・キッドマン

「こんなニコール・キッドマンは見たことがない」というキャッチがあるぐらい、すごい汚れ役とアクションで登場します。

クサマ監督をして、彼女を起用できたことを「監督の特権」と語るぐらい熱い思い入れがあったとのこと。

10.『ストレイ・ドッグ』など作品一覧

●カリン・クサマ監督

誕生日:1968年3月21日生まれ

出身:アメリカ・ニューヨーク州

▶カリン・クサマ監督作品一覧

▶おすすめの監督作品


イーオン・フラックス (予告編)

※少し前のSF作品ですが、シャーリーズ・セロンのキレッキレのアクションが!

また、ニコール・キッドマンこそ、映画に携わる女性が少ないことを公言する女優のひとり。

「女性の映画人を増やすためにも女性監督と仕事をし続ける」として、今回、彼女の方からクサマ監督に出演を依頼したと言われています。

参考記事:「大役担ったハリウッドの日系女性監督 現地の多様性は?」(朝日新聞デジタル)

おすすめは、シャーリーズ・セロン主演の『イーオン・フラックス』です。

まとめ~「女性監督の」という形容詞がなくなる日~

今記事では、「台頭する女性映画監督」というタイトルを付けました。

しかし、そもそもこの「女性監督」という表現を使うことがまだまだ映画界の男女格差が過渡期であることを言っているようなものです。

「あの作品は、〇〇監督」と形容詞が付かずに語られる日が待ち望まれます。

と言いながら使ってしまいますが、今回紹介した女性監督は一部でしかありません。

今後も引き続き紹介していきたいと思います。

by:kazemichimovie(「日本ブログ村外国映画部会員」)
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